『イージー・ライダー』はウエスタン映画? デニス・ホッパーが激白!
自ら監督・脚本・主演に挑戦した映画『イージー・ライダー』で、一躍映画史に名を刻んだ名優デニス・ホッパーが、新作映画『エレジー』(原題)と過去の作品について語ってくれた。ホッパーは、本作でベン・キングスレーの友人で詩人のジョージ・オーハンを演じている。
‐低予算映画『イージー・ライダー』で、ハリウッド・システムを根底から覆してしまったあなたが、このような独立系作品に参加する意義とはなんでしょう?
(デニス・ホッパー)君は、おれが彼ら(独立系作品)の手助けをしていると思っているかもしれないが、むしろおれの方が彼らに助けてもらっているくらいなんだよ(笑)。独立系作品でも、それぞれの俳優の演技が素晴らしいものになるとわかっているような作品に、おれはいつも胸が膨らむね。
‐来年は『イージー・ライダー』製作から40周年記念の年となりますが、何か特別な企画はありませんか?
(デニス・ホッパー)そうか、もう40年になるのか。当時のおれは8歳だったからなぁ(笑)。企画なんてないよ。パラマウントはそんなことより、今週末公開の映画の興行成績を気にしているのさ(笑)。ちなみにみんなは『イージー・ライダー』をバイク映画だと思っているかもしれないが、おれはあの映画をウエスタンとして作ったつもりだったんだ。馬をバイクに変えてね。それぞれの田舎町でいろいろな人々に接する場面はウエスタンをイメージしたものさ。もちろん当時起きていた反戦や暴動などは必然的に描くことになったけれど。
‐ジェームズ・ディーンとの出会いは、あなたのキャリアに変化をもたらしましたか?
(デニス・ホッパー)サンフランシスコにあるオーク・シアターでシェイクスピア劇をやっていた当時18歳のおれが、ワーナー・ブラザーズと契約して参加したのが映画『理由なき反抗』だった。そのセットでディーンに会うまで、おれは即興演技なんて見たことがなかったよ。いつものおれは、セリフを読んでからジェスチャーを加え、その上でシーンへの先入観を抱いていったんだ。ところがある日ディーンの演技を見ていたら、彼の演技のすべてが脚本に書かれていないシーンだってことに気付いたんだ。どうしてあんなにいろいろなアイデアが出るのか本当に不思議だったよ。これまで共演してきた中で、ディーンが一番だと思っているよ!
個人的に彼にはかなり聞きたいことが山ほどあったのだが、制限された時間内で映画以外の質問をするには、あまりに短過ぎた。ただ彼の口から出る言葉の一つ一つが貴重であることは確かだった。(取材・文:細木信宏/Nobuhiro Hosok)