新しい「007」小説の映画化はなし!ファンの不満の声高まる
5月に発売された新しい007小説「デビル・メイ・ケア」について、映画化が見送られることになった。小説は、原作者イアン・フレミングの遺志を継ぐフレミング財団から依頼を受けたイギリスの人気作家、セバスチャン・フォークスが執筆したもので、フレミングの生誕100年にあたる5月28日に発売され、ベストセラーとなっている。フォークスは映画『シャーロット・グレイ』の原作で知られる作家で、映画化が実現すれば「大変うれしい」と語っていただけに、残念なニュースとなってしまった。
「デビル・メイ・ケア」は1967年の冷戦時代を舞台に、ロンドンやパリ、中東をめぐる麻薬売買のサスペンスとなっているが、映画化の邪魔をしたのは1960年代という時代設定で、製作のイオン・プロダクションはこの作品を映画化するつもりはしばらくないよう。フレミングの原作も1950年代と1960年代のものばかりだが、映画化された作品では時代設定を現代に置き換えたり、またダニエル・クレイグ演じる新作映画『007/慰めの報酬』ではストーリーがフレミングの原作と異なっているなど、映画化にあたっては原作に変更が加えられるのはよくあることで、フォークス版が映画化できないのはおかしい、という声もある。
テレグラフ紙によると、ジェームズ・ボンド国際ファンクラブは「デビル・メイ・ケア」について「映画化は絶対に可能だし、イランやアフガニスタンという設定も現代社会に通じるものがある。でも今回の決定は予想できた。フレミング原作以降のボンド小説はイオンは一度も製作していないからね。フレミングの原作は短編の『危険』と『珍魚ヒルデブランド』が映画化されずに残っているが、フレミングの原作がすべて映画化されてしまえば、フォークス版の映画化も考えなくちゃいけなくなるよ」と語っている。