人種差別のタイトルに賛否両論!映画『タオルヘッド』の監督に直撃インタビュー!
映画『アメリカン・ビューティー』でアカデミー賞脚本賞を受賞し、ケーブルテレビHBOのテレビドラマ「シックス・フィート・アンダー」のクリエーターとしても成功したアラン・ボールが、初監督を試みた長編映画『タオルヘッド』(原題)について語ってくれた。
本作は1990年代初頭に、アメリカのテキサス州で暮らす13歳のレバノン人少女が、周囲の人種差別の環境に耐えながら、女性として成長していく姿を描いていく。なお本作はタイトルが侮辱的であるとして、イスラム系の人権団体から抗議を受けたことでも話題となった作品だ。
‐製作経緯について
(アラン・ボール)わたしはこの原作をすぐに気に入って、自ら著作権を得た。なぜなら現在のハリウッド・システムの中では、この素晴らしい内容のままストーリーを進展させることはできないと思ったからなんだ。すぐに脚本を書いてあらゆる大手の映画会社に送ったが、予想通りこの脚本は、問題作過ぎて誰もかかわろうとはしなかった。その結果、立ち上げたばかりのインディペンデント映画会社のインディアン・ペイントブラッシュのもとで製作が始まったんだ。
‐問題視されたタイトルについて
そのとき、この映画は『アンタイトル:アラン・ボール プロジェクト』と呼ばれていたんだが、映画祭や配給会社に買い付けてもらわなければならないので、一旦はタイトルを『ノッシング・イズ・プライベート』とした。しかしひどいタイトルだろう(笑)? しかも、このタイトルで行われた試写会での観客の反応は「タイトルが嫌いだ」ばかりだったよ(笑)。最終的にはワーナー・インディペンデントが配給権を得たときに、彼らからタイトル変更の指示が出てね。いろいろと考えた結果、原作のタイトルの差別用語がストーリーのテーマを表していると判断して、原作そのままのタイトルの「タオルヘッド」でいくという意向を伝えたんだ。彼らもそのタイトルを支持してくれたよ。
‐イスラム系の人権団体に抗議されたことについて
(アラン・ボール)去年の11月に行われたイスラム系協議会での試写会では、われわれのコンセプトをきちんと理解してくれていた。タオルヘッドという言葉が悪用され、どれほどの差別を生み、どれだけの人々を苦しめたのかをくみ取ってくれてね。励ましの言葉をかけてくれる人もいたくらいさ。それが、この2か月くらい前からアメリカ教育基金の団体や、シーク派の団体を中心に抗議が殺到してね。そこで、このタイトルの反対派の団体とわれわれ製作者側とで記者会見を開き、お互いに意見を主張し合ったんだ。タイトルについては意見が食い違ったものの、差別問題については同調することができた。この会見は録音してあるので、後々この映画のサイトとDVDで発表しようと考えているよ。(取材・文:細木信宏 / Nobuhiro Hosoki)