初監督作品ながらグランプリ受賞!女流監督コートニー・ハントにインタビュー!
サンダンス映画祭で初監督作品ながら見事グランプリを受賞した映画『フローズン・リバー』(原題)の監督コートニー・ハントに話を聞いた。本作はトレーラー暮らしを続ける母親と貧困に苦しむモホーク族の女性が、カナダ国境からアメリカへの不法入国を手伝うスリラー作品。
‐企画から10年かかったとのことですが
(コートニー・ハント)天才的頭脳を持つような脚本家は週末に1本書いて成功するなんて例もあるけれど、実際のインディペンデント映画界では映画を作るのに普通5、6年、企画を入れると7、8年かかってしまうケースが多いのよ。わたしがこの企画を思いつき、ネイティブアメリカンのモホーク族について調べ、リアルなキャラクターを脚本の中で書けるまでかなり時間がかかったの。それにわたしが書いた脚本に興味を持ってくれる製作者がいなくてね。自分で資金繰りをしなければならない状態に追い込まれたけれど、自分でやるとなった瞬間にプロジェクトが進んだわ!
‐父親や夫の不在が裏テーマのように描かれていますが、これは意図的なものでしょうか?
(コートニー・ハント)決して意図的なものではないわね。ただシングルマザーは、あっちこっちにいるでしょ? わたし自身も母子家庭で育ったからか、物事を早く知ろうとしたり、さまざまなことを気にかけたりしてきたの。わたし自身の経験が知らず知らずのうちに作品に反映されたのかもしれないわね。
‐グランプリを受賞したことで今後あらゆるオファーが来ると思いますが?
(コートニー・ハント)すべて自分でやるということにこだわらず、監督業だけの仕事を受け入れることに何の問題も感じていないわ。サンダンス映画祭が終わってからは、送られてきた脚本を読んでいるのよ。脚本を執筆することは本当に大変なの。実はこの作品以外に2つの脚本を書いたけれど、執筆中は自分でその世界を作り上げるのに苦労した経験もあるし、今後は監督のみなんてのもあるかもね(笑)。
低予算で製作された本作だが、厳しい環境の中でたくましく生き抜く女性を力強く描いた完成度の高い作品である。(取材・文:細木信宏 / Nobuhiro Hosoki)