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スペインで高評価!トロントでも好評だった『歩いても 歩いても』【第56回サン・セバスチャン国際映画祭】

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公式上映後に映画祭ディレクターのミケル・オラシレギ氏に祝福される是枝監督
公式上映後に映画祭ディレクターのミケル・オラシレギ氏に祝福される是枝監督

 スペインで開催されている「第56回サン・セバスチャン国際映画祭」のコンペティション部門作品の是枝裕和監督の映画『歩いても 歩いても』の公式上映が現地時間24日、メイン劇場のクルサール・ホールで行われた。

 この日の朝に日本から現地着入りした是枝監督は、目の下にクマのできた顔のまま、写真撮影や記者会見に挑むという慌ただしい日々を迎えていた。それでも「この街が好きだから、呼ばれたらホイホイ来ちゃう(笑)」と、映画『ワンダフルライフ』『花よりもなほ』に続く3度目の同映画祭参加を喜んだ。『歩いても 歩いても』は是枝監督の亡き母の思い出を基にしたオリジナル脚本で長男の命日に集まった家族の一日を描く家族ドラマだ。9月にカナダで行われたトロント国際映画祭でも好評で、スペインでの配給も決まった。

 同映画祭でのプレス試写でも公式上映でも、家族ならではの辛らつな会話のやり取りに何度も笑いが起こるほど評価は上々だ。記者会見ではイタリア人記者から「役者の芝居がすごくナチュラルで驚いたのだが、どんなトレーニングをしたのか、演出の秘密を教えて欲しい」と迫られる一幕もあった。是枝監督は「今回は比較的、きちんと脚本を書いたのだが、子どもたちには脚本を渡さず『夏休みにおばあちゃん家に遊びに来た』という設定と、その場その場に耳元でセリフをささやくという手法を取りました。その子どもの演技を決めなかったことが、大人たちに自然な反応を呼び起こして成功したのかな」と笑顔で答えた。

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 また、日本の民家を舞台にした家族劇ということで「小津安二郎作品と似ているが、影響を受けたのか?」という質問も出たが、是枝監督は「家族ゆえに理解し難い事や、親子のディスコミュニケーションを描いているので、小津さんの名前が出るのはわかっているし、比較されて光栄に思います。でも、映画を撮っているときにほかの監督を意識することはないし、影響もありません。むしろ同じ家族の描き方ならば、僕が最初にこの映画祭に来た1998年にレトロスペクティブを行った成瀬巳喜男監督の方が好きです」と語った。

 その成瀬監督特集から10年経った今年は、「日本のフィルム・ノワール」と題した特集上映を実施中だが、是枝監督はこれにも触れて、「自分の映画は多分タイプが違うと思われるかもしれませんが、『歩いても 歩いても』は家の中で起きるサスペンスにアクション、ハードボイルドを描こうと思ったので、どこか共通点があるかもしれません」とジョークを飛ばし会見場を和ませていた。

 コンペ部門の受賞結果は現地時間27日に発表。『ワンダフルライフ』のときは国際批評家連盟賞を受賞しており、三度目の正直で最優秀作品賞にあたるゴールデン・シェル賞(金の貝賞)を受賞するか注目されている。

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