ティム・ロビンスに直撃インタビュー!イラク戦争帰りの兵士を演じて感じたこと
映画『ミスティック・リバー』でアカデミー賞の助演男優賞を受賞したティム・ロビンスと、映画『ワールド・トレード・センター』で有名になったスパニッシュ系俳優マイケル・ペーニャが、新作映画『ザ・ラッキー・ワンズ』(原題)について語ってくれた。
本作は、負傷しイラク戦争から戻って来た3人の兵士(ティム、マイケル、レイチェル・マクアダムス)が、レンタカーでそれぞれの家へ向かう姿を描いたロード・ムービーだ。
‐長期間に渡る車内での撮影はいかがでしたか?
(ティム・ロビンス)最初の段階で、7週間もの長い期間を車で移動しながら撮影するとわかっていたから、お互いにきずなを深める必要があったんだ。撮影中も、俳優の責任者として、おれが若手の俳優を夕食に誘ったりしてコミュニケーションを図ったんだよ(笑)。
(マイケル・ペーニャ)ティムのお陰で全員が自然体の演技をしていたよ!
‐当初からイラク戦争反対の立場を崩さないあなたが、イラクで戦ってきた兵士を演じようと思ったきっかけは何ですか?
(ティム・ロビンス)おれが反対していた1つの理由として、われわれのリーダーである大統領が、兵士たちが過酷な扱いを受けるとわかった上で戦争を開始したというのがある。ろくに核兵器の調査も済ませず、早急な決断をしたんだからね。実際に出会ったイラク戦争を体験した兵士たちは、皆この矛盾点をしっかり理解しているし、われわれが思っている以上に兵士たちはイラクで何を守るべきかということを理解しているんだ。それが出演の理由だよ。
‐兵士を演じるにあたって特別な訓練はされましたか?
(マイケル・ペーニャ)この作品の前に出演した映画『大いなる陰謀』で、兵士としての基礎知識を学んだけれど、今回は精神的な部分が多いから、実際の兵士とのインタビューを中心に学んだ感じさ。
(ティム・ロビンス)おれは兵士のトレーニング用ビデオを見たり、兵士とのインタビューで体験談を聞いたんだ。その中で一番印象的だったのが、ニュージャージー州出身の兵士の話だった。おれとはすべてにおいて意見が違うんだけど、もしおれが戦争に行ったとしたら、彼のような人物と一緒に闘いたいと思うね。なぜならば彼は飾ることなく、そのままの個性を持っていたからなんだ。戦場ではまったく違う側面を持った人物の方がむしろ信じられるかもしれないと感じたんだよ。
本作は、これまでとは違ったイラク兵士たちの苦悩と決断を、ロード・ムービーとして描いた作品だ。人として、誰かを救おうとする使命感が胸に込み上げてくる。(取材・文:細木信宏 / Nobuhiro Hosoki)