ハリウッドは不況知らず?リーマン・ブラザーズ崩壊後の株パニックにびくともせず…
リーマン・ブラザーズが崩壊してから、連日ジェットコースターのように不安定な状態が続くアメリカ株式市場。その騒然とした空気は一般市民にも影響を与えており、銀行のATM機が整備のために一時停止するだけでも、並んでいたお客さんの顔面蒼白……といった状況が目撃されウォール・ストリートが右往左往する中、意外にも動揺していないのがハリウッド。
巨額のお金が動き、絶えず何が起こるかわからない流動的なエンターテインメントの世界だが、経済界緊急事態のこのご時世の中で、異常なまでの落ち着きを見せている。
今回、リーマン・ブラザース同様、破綻の憂き目にひんしているアメリカの大会社メリルリンチ社。同社が、アメリカ大手銀行のバンク・オブ・アメリカに買収されるという話が露見したとき、映画関係者の頭をまずよぎったのはトム・クルーズ経営のユナイテッド・アーティスト。
ユナイテッドは、メリルリンチと金銭的な契約を交わしているため、ユナイテッドの関係者は相当なパニックではないのか……と思われるが、ユナイテッドの親会社に当たるMGM関係者はさらりとしたもの。「契約は去年の時点で決定していることであり、万が一メリル・リンチがバンカメに吸収されても、契約が変更・削除されるようなことはないし、懸念はない」というコメントを発表している。
アメリカの経済界関係者たちの間で、「アメリカ経済の低迷はこのまましばらく続くであろう」という何とも陰鬱(いんうつ)な予報がでているにもかかわらず、映画業界にいたっては、浮いた話で持ちきりといった感がある。
先週金曜日に成立したドリームワークスとリライアンス社の巨額契約合意のニュースはまだ記憶に新しいところだが、実は今週に入り、ハリウッドの一角でもうひとつの大契約が成立していたのである。
インディーズ映画の制作会社で、メディア・ライツ・キャピタルという会社がそれ。ブラッド・ピット主演の映画『バベル』や、Googleとアニメの巨匠セス・マクファーレン(テレビの大人気アニメ『ファミリーガイ』の作者)の動画ベンチャーにも出資しているところなのだが、これまたJ.Pモーガンから推定額約3億5千万ドル(約350億円)の貸付契約に成功した、というニュースが報道されている。
株価暴落が起きた後、心配されていた週末の映画興行収入も予想されたほどの落ち込みはなく、とりあえずセーフといったところ。映画業界が元気な限り、アメリカの経済もまだ終わっちゃいない! ……と思いたい今日このごろである。