クリント・イーストウッド登場!アンジェリーナ・ジョリー主演の新作を語る【ニューヨーク映画祭】
現地時間2日、ニューヨーク映画祭(46th N.Y.F.F)で、最近は俳優よりも監督としての活動が目立つ映画界の重鎮クリント・イーストウッド監督が、新作映画『チェンジリング』(原題)について語ってくれた。
本作は、1920年代にロサンゼルスで起きた実際の事件を基にした作品だ。ある日突然行方不明になった息子が、警察の捜査で発見されたものの、母親(アンジェリーナ・ジョリー)が自分の息子ではないのではないかと疑い始めたことから始まる、腐敗した警察組織と息子をめぐって巻き起こるドラマ。
この事件についてイーストウッド監督は「わたしは1930年生まれだが、この事件については脚本を渡されるまで、正直あまり知らなかった。だが脚本家のJ・マイケル・ストラジンスキーが、多数の記事のクリップを送ってくれて、事件の大まかな外観をつかむことができた。それにこの事件よりも、当事者である母親に焦点を当てた脚本が、わたしにとって興味深かったんだ」と語った。
また「アンジーには何度かいろいろな場所で会ってはいたが、彼女については何も知らなかった。ただ、今年の彼女はありとあらゆる雑誌の表紙を飾っていて、その人気を利用する価値があると思ってね(笑)。表紙を飾る女優のほとんどは才能があるとは思えないが、アンジーは特別で才能にあふれていると思う。撮影に入った瞬間、アンジーはキャラクターに一瞬で成り切ったんだ」と優しい目をしながらアンジーについて語るイーストウッド監督の姿がとても印象的だった。
イーストウッド監督はここ最近は監督作品ばかりで、役者として活躍することはもうないのだろうか? 「若い役者たちを演出してみて、また自分も俳優として活躍してみようという気になったね。確かに前は、もう俳優業はやらないようなことを言ったかもしれないが、映画『ミリオンダラー・ベイビー』に出会ったろう? 人生何があるかわからないからね」と俳優としての今後を語った。
本作は10月24日にアメリカで公開予定だ。俳優として出演する次回作映画『グラン・トリノ』(原題)の仕上げの最終段階に入っているとのことだ。70代の後半に入ってもまだまだ精力的に活動を続けるイーストウッド監督のバイタリティーには脱帽である。(取材・文:細木信宏 / Nobuhiro Hosoki)