新作ラッシュ!1位はディズニー新作のワンちゃん映画-10月5日版
全米ボックスオフィス考
今週の全米興行収入のトップに輝いたのは、ディズニー新作の実写映画『ビバリーヒルズ・チワワ』(原題)。かわいい犬に弱いのは、日本もアメリカも同じというわけだ。先週1位だったドリームワークスの映画『イーグル・アイ』をけ落として、2,900万ドル(約29億円)の興行収入を記録し1位を獲得した。声のゲストにドリュー・バリモア、アンディ・ガルシアなどを迎え、子どもから大人まで楽しめることで定評のあるディズニー映画だが、2,900万ドルという数字はスタジオ側も予想以上だったようで関係者たちは意気揚々である。
3位はワンランク落ちたものの安定した興行収入で730万ドル(約7億3千万円)を記録した、映画『最後の初恋』。ダイアン・レインとリチャード・ギアが久々に共演した同作品は、秋の切なさとマッチしているのか、大人のラブストーリーというジャンルにしては手堅く収入を増やしており、現在までの総合興行収入は2,500万ドル(約25億円)。悪くない結果である。
4位に入ったのは、今週デビューした大型新作中7本のうちの一本で、映画『ニック・アンド・ノラズ・インフィニテ・プレーリスト』(原題)で1,200万ドル(約12億円)。批評家たちの間で非常に評判の良いティーン・ラブストーリーで、今週末に同作品を観て気に入ったファンの口コミによって、どれだけこれからの興行収入が上がるか注目されている。5位は、渋さで勝負のエド・ハリス監督・主演で、ヴィゴ・モーテンセン共演の西部劇映画『アポルーサー』( 原題)で500万ドル(約5億円)の興行収入。6位は先週の3位から転落のサミュエル・L・ジャクソン主演サスペンス映画『レイクビュー・テラス』(原題)、7位がブラッド・ピットのオトボケが笑える映画『バーン・アフター・リーディング』(原題)。8位は先週もお伝えした、クリスチャン映画『ファイヤープルーフ』で410万ドル(約4億1千万円)の興行収入となった。
さてアメリカ映画業界では毎年恒例、9月に入るとインテリの秋……という様相でドラマやメッセージ色の強いドキュメンタリーなどが目立ち始める。往々にして大ヒットとまではいかないのだが、小粒でもピリリとからい作品たちがそろった。今週のトップ10にランクインしたのは、9位のヴィヴェンディ・エンターテイメント作品で政治コメディー映画『アメリカン・キャロル』(原題)で380万ドル(約3億8千万円)。そして、映画『アメリカン・キャロル』(原題)の公開劇場数の3分の1程度でしか公開されていないのに、10位にランクインした宗教風刺ドキュメンタリー映画『リリギュラス』(原題)。
360万ドル(約3億6千万円)を売り上げたこの作品は、1館あたりの収入に換算すると『アメリカン・キャロル』(原題)の収入が2,234ドル(約23万6,800円)なのに対して、6,972ドル(73万9千円)という収入を上げており、断然割りのいい結果が出ている。毒舌が人気のコメディアン、ビル・メイハー主演の『リリギュラス』(原題)は公開前からかなりの反響を呼んでいたいわく付きの作品。レポーター件ナレーターを務めるビルが世界各地の宗教名所を回り(例えば、メッカやエルサレムなど)、そこの信者たちに、彼らの信仰は一体何を根拠に成り立っているのかと聞いたりするという、一歩間違うと撃ち殺されかねないような質問を過激ユーモアたっぷりに投げかけて回るというドキュメンタリー。マイケル・ムーア監督のヒット・ドキュメンタリー映画『シッコ』『華氏911』の観客をターゲットして公開されたこの作品の反響は上々で、今週以降新たに75から100くらい公開館数が増やされるということに加え、すでに作品を観た観客の口コミなどで、来週末にはランクアップが予想される。(取材・文 神津明美 / Addie・Akemi・Kohzu )