小学5年の妊婦を演じた甘利はるなに釜山国際映画祭で韓国の観客が日本語で「かわいい!」
3日、映画『コドモのコドモ』が韓国で行われた第13回釜山国際映画祭で上映され、監督の萩生田宏治監督と主演の甘利はるなが舞台あいさつを行った。
映画祭での観客のリアクションは好感触で、上映終了とともに登場した萩生田監督と甘利は大きな拍手で迎え入れられた。小学5年生で妊娠し出産にするという難役をこなした甘利が韓国語で自己紹介すると、観客席から日本語で「かわいい!」との声が飛び交い、舞台あいさつは終始和やかな雰囲気の中で行われた。
「出産シーンは初めてだったのでとても難しかった」と本作の役作りについて素直に語る甘利の姿に会場は爆笑。「いきみ方がわからず、勉強をしました」とポツリポツリ語る甘利に会場からは笑いとともに、またまた拍手が沸き起こった。劇中では11歳の母親を演じた甘利だが、実際の甘利はフツーの大人しい少女だ。さらに本作が映画デビューとなったわけで、マスコミ対応やインタビューなど慣れるにはまだまだ時間が必要だ。司会者からの質問に上手く答えられず、言葉に詰まってしまう場面も見受けられたが、そこは萩生田監督がうまくフォロー。「はるなはこの作品が初めての出演作。オーディションも初めてだった」と明かすと会場からはどよめきが起こり、甘利の女優としての存在感が韓国の観客たちにも認められた形となった。
それでも甘利はマイペースに「決まったときはビックリして、うれしい気持ちと不安な気持ちでいっぱいだった」と素朴に語り、観客たちは劇中の甘利と実際の甘利のギャップに驚きを隠せない様子だった。子どもの妊娠というテーマだけに、本作はセンセーショナルな部分のみが取り上げられ、バッシングを受けているのも事実だ。それに、子どもの妊娠に少女の両親が気付かないのはおかしいとの声もある。しかし萩生田監督は「確かに現実ではありえないこと。しかし仲が悪いわけではなく、逆に信頼し合って愛情があるからこそ気付かないという風に描いた」と現代では、希薄になりつつある家族や親との強いきずなも根底にあるテーマだと語った。
『コドモのコドモ』は、さそうあきらの原作漫画による異色のドラマ。予期せぬ妊娠をしてしまった小学5年生の少女(甘利)を、そのクラスメートたちが団結して守り、出産を乗り越えようとする姿を描く。
映画『コドモのコドモ』は渋谷シネ・アミューズ、新宿武蔵野館ほかにて全国公開中