奥田瑛二監督、逝去した緒形拳さんへ万感の思いを書き記す
5日、肝臓がんにて死去した緒形拳さんの主演作で、2006年のモントリオール世界映画祭で3冠を受賞した映画『長い散歩』を撮った奥田瑛二監督が、緒形さんへの万感の思いを込めたメッセージを書き記した。
すごい役者が逝った
すごい役者が消えた
すごい役者が残った
永久に緒形拳が残った
ありがとうございました。
通夜のアトにて
奥田瑛二
役者、監督、芸術家という表現者である奥田監督の緒形さんに対する万感の思いが、書き連ねたシンプルな文字から伝わってくる。
奥田監督は『長い散歩』を撮りはじめたきっかけについて当時、すでに大俳優である緒形さんの“今”の代表作を自分が撮ってみたいとの思いを募らせ、緒形さんを軸にストーリーを考えていった。その結果、緒形さんのキャラクターがスクリーンいっぱいに表現された傑作『長い散歩』を生みだすこととなった。結果的に緒形さんの最後の主演映画になってしまったが、『長い散歩』を観た者であれば誰もが緒形さんの存在感に心をわしづかみにされ、永遠に記憶に残る映像だ。
『長い散歩』は校長職を定年退職した初老の男と、母親から虐待を受けている少女の、魂の逃避行を描いたヒューマンドラマ。妻を亡くし、人生に対する贖罪(しょくざい)の旅に出る主人公を緒形さんが演じている。