ディカプリオの新作1位ならず…『ビバリーヒルズ・チワワ』2週連続1位に!-10月12日版
全米ボックスオフィス考
全米で今週末に封切られた、レオナルド・ディカプリオとラッセル・クロウ主演でリドリー・スコット監督待望の映画『ワールド・オブ・ライズ』が、何とチワワとゾンビに負けてしまった。
先週に引き続いて1位の栄冠に輝いたのは、1,750万ドル(約17億5千万円)の興行収入で、ディズニーの実写映画『ビバリーヒルズ・チワワ』(原題)。そして2位には、映画酔いが続出した映画『クローバーフィールド/HAKAISHA』のゾンビ版でソニーとスクリーン・ジェム製作作品の映画『クアランティーン』(原題)で、1,420万ドル(原題)となった。4位には依然としてランキング上位に名を連ねている映画『イーグル・アイ』で1,100万ドル(約11億円)、そして5位には映画『ニック・アンド・ノラズ・インフィニテ・プレーリスト』(原題)が650万ドル(約6億5千万円)で食い込んだ。
さて、驚きなのが今週の3位、リドリー・スコット監督作品『ワールド・オブ・ライズ』。ディカプリオとラッセルが、映画『クイック&デッド』以来久々の共演で、ましてやサスペンス・アクションと聞いたら、ボックスオフィスでの1位は確実であろう……と見られていた。しかしフタを開けてみるとその予想は大きく裏切られ、2位どころか3位。興行収入も1,310万ドル(約13億1千万円)という結果に甘んじた。
製作推定額7千万ドル(約70億円)という巨額を投入して作られた『ワールド・オブ・ライズ』、製作費に加え、大手スタジオが往々にして大作にかけるといわれる平均宣伝費3,600万ドル(約36億円)を加算すると、今週末の興行収入は製作スタジオのワーナー・ブラザーズにとっては痛い結果である。
アクションが盛りだくさんとはいえこの映画は、中近東テロリストグループとCIAを扱った暗くシリアスなストーリーだ。ワーナーの責任者ダン・フェルマン氏は、「全体的に暗いアメリカのムードが、こういう興行成績につながったと思う」とコメントしているが……。
だが、外野の意見はもっと手厳しい。ディカプリオの童顔のせいで、ストーリーの信ぴょう性がリアルに見えないのではないかという意見である。また、女性ファンの心を溶かすには最適なディカプリオのかわいらしいハンサムさが、この映画ではかえって災いし、中近東専属のCIA要員という役にはミスキャストだという意見もある。
確かに、33歳のレオナルドは年齢の割には依然としてボーイッシュな顔立である。しかも、役によっては幼な過ぎる顔立ちといわれてしまう可能性もあるのだ。キュートでハンサムなディカプリオも苦労しているのである。
来週末は、話題騒然のオリヴァー・ストーン監督作品映画『W』(原題)が公開される。以前、ビル・クリントン元大統領のキャンペーンをモチーフに描かれたジョン・トラヴォルタ主演の映画『パーフェクト・カップル』などは存在したものの、現役大統領をそのまま扱い、風刺がかった大作映画が作られたのは今回が初めて。おまけにジョシュ・ブローリン演ずるジョージ・W・ブッシュ大統領のそっくり度には、目を見張るものがある。また、リチャード・ドレイファスがディック・チェイニー副大統領を演じて、久々に元気な姿を見せているのも楽しみだ。
木曜日は最後の大統領候補討論会の日でもある。『W』(原題)の公開はその翌日。残念ながら『ワールド・オブ・ライズ』のランクアップはますます難しいかも……?(取材・文 神津明美 / Addie・Akemi・Kohzu )