ティーチインに記者は一人?ダークホースな作品が登場!
第21回東京国際映画祭
23日、第21回東京国際映画祭コンペティション部門作である映画『ダルフールのために歌え』の上映後にヨハン・クレイマー監督らスタッフ5人によるティーチインが行われたが、プレス試写の評判はすこぶるいい作品にもかかわらず、取材陣はたった一人であった。
モノクロ映像で描かれる本作の製作意図について、観客から質問されると、「事前準備に3か月、撮影期間12日、という中で40のストーリーに色の統一感をもたせることが難しく、人物に焦点を当てたかったから。でもラストに向けて少しずつ色を加えることで希望を感じさせるのは初めから想定していた」という。また、俳優のケヴィン・ベーコン似のイケメン撮影監督、ワウター・ウエステルンドープが「撮影には16ミリを用いた。粒子が粗いので画に力を与えると確信していた」と技術面での補足を付け加える見事な連携プレーをみせた。
同作はこれまでオランダの映画祭とスペインの単館という2か国でしか上映されておらず、監督は「アジアの観客の反応が楽しみ」とやや興奮気味。なぜか、この日はレインボーカラーのソックスにスニーカー、そして白と水色のジャージ姿というラフないでたちでティーチ・インに登場した。その真意は謎のままだが、観客からの質問にはとても真摯(しんし)に対応していた。
『ダルフールのために歌え』は40のストーリーをつむぎ、都市で暮らす人々の国際情勢に対する無関心さを浮き彫りにした意欲作。非営利目的で作られ、アフリカの北部スーダンのダルフール地方で2008年現在も進行中の紛争への関心を高めたいという思いで作られている。ちなみに同映画祭プログラミング・ディレクター公式ブログには「観客や審査員の反応が予想しづらく、ダークホース的な存在」と表現されていることも見逃せない。