妖艶美女、カリーナ・ラム主演、崩壊していく男女の関係を描いた『親密』
第21回東京国際映画祭
23日、第21回東京国際映画祭が開催中の六本木ヒルズのTIFFムービーカフェで、コンペティション部門の映画『親密』の記者会見が行われ、アイヴィ・ホー監督、カリーナ・ラム、イーキン・チェンが登場した。本作で、オフィスという小さな世界で築かれ崩壊していく男女の関係を、共演は4度目となるカリーナ・ラムとイーキン・チェンの二人がしっとりと息ピッタリに演じている。
アイヴィ・ホー監督は名作映画『ラヴソング』『アンナ・マデリーナ』などを手掛けた脚本家でもあるが、本作で監督に初挑戦。本作の英題は「Claustrophobia」というもので、これは閉所恐怖症という意味。アイヴィ・ホー監督の夫が閉所恐怖症で、身近な恐怖症の人間を観察する機会を得たことで、いつか映画にしたいと思っていたそうだ。「最初にタイトルをつけ、撮影に入った」とのコメントからもその思いの強さを垣間見ることができた。
恋愛のエンディングから始まりにさかのぼる構成で描かれた本作であるが「撮影は16日間という短い期間しかなく、車のシーンやオフィスのシーンなどはまとめて撮影した」とアイヴィ・ホー監督。そんな撮影で主演の二人に混乱は起きなかったのか? イーキン・チェンは「難しかったのは車でのシーン。オフィスからの帰りに車に乗るだけのシーンでも日によって気分も違うので、内面を表現することが難しかった」と語った。カリーナ・ラムは「早めに脚本をじっくり読んでいたので混乱はなかった。ポイントは二人の関係があいまいだということ。その部分をいつも意識していた」と語った。
親密という言葉には、お互いがそうなろうとしてなる場合と、やむなくそうなってしまう場合……。社内恋愛をしている男女の微妙な距離感のもどかしさをアイヴィ・ホー監督が、絶妙な感覚で雰囲気タップリに美しい映像で描きあげた。主演した二人の抑制された演技にも魅了される、行間で読ませる大人のラブ・ストーリーだ。カリーナ・ラムの美しさに加え、香港イケメン俳優で映画『欲望の街』シリーズのイーキン・チェンの際立った演技にも注目したい。