スティーヴン・キング原作映画史上NO.1のヒット!『1408号室』その理由は?
11月22日に公開される、スティーヴン・キング原作の映画『1408号室』がアメリカ公開の際に、3日間の興行収入がキング原作映画過去最高の記録を樹立した。その背景にはキング・ファン納得のストーリーテリングの妙があったようだ。
キングといえば、モダンホラー小説界の王様(キング)であり、その著作のほとんどが映像化されているといっても過言ではない。映画『キャリー』を筆頭に、映画『シャイニング』『デッドゾーン』『ダーク・ハーフ』『ドリームキャッチャー』『ミスト』などなどホラージャンルの映画作品はもちろんのこと、人間ドラマ要素の強いキング原作を映像化した映画『スタンド・バイ・ミー』『ショーシャンクの空に』『グリーンマイル』は、不朽の名作として数えられている。
その反面、緻密(ちみつ)に描写された原作をうまく視覚化することができず興行面、内容面でコケてしまう映画も少なくない。「アメリカの家庭には2冊の本が必ずある。一冊は聖書で、もう一冊はスティーヴン・キングの小説だ」といわれるほどキングの人気は高く、アメリカのみならず世界中に熱狂的なファンが存在するがゆえに、映画作品が辛口に評価されてしまう理由なのだろう。だが、今回の『1408号室』はキング・ファン納得の内容で、興行面と内容面ともに好評を博し、第21回東京国際映画祭では特別招待作品として上映もされた。
本作は、キングが何となく書いた冒頭部分から生まれた短編小説「一四〇八」をベースに、宿泊客56人全員が謎の死を遂げたドルフィンホテルの1408号室を取材しにきた、オカルト作家マイク・エンズリン(ジョン・キューザック)の恐怖の一夜を描く。そのオカルト作家のマイクのキャラクターが、まるでキング自身のようであるという面白さと、小説「シャイニング」「ミザリー」「超高層ビルの恐怖」などなどキング小説のオマージュがエピソードの中に散りばめられ、見事に恐怖と融合している。この点が、ホラー映画ファンおよび熱狂的なキング・ファンの足を劇場に運ばせた要因ではないだろうか。
「『シャイニング』がかすんでみえる!」「二度と一人でホテルに泊まれなくなる!」など批評家からも好評で、これがハリウッドデビュー作となるスウェーデン人監督ミカエル・ハフストロームも鼻高々といったところ。果たして日本の観客にこの恐怖は届くだろうか。公開が待ち遠しい作品だ。
映画『1408号室』は11月22日より全国公開