牛の角に胸をえぐられたことも…闘牛士の頂点に立った男のドキュメンタリーが完成!
世界最高峰の闘牛士エル・ファンディこと、ダヴィド・ファンディヤを描いたドキュメンタリー映画『ザ・マタドール』(原題)が完成した。本作は、若きファンディが闘牛士として頂点に上り詰めるまでの、家族愛や葛藤を描いた作品。
映画出演にはどういったアプローチをしたのだろうか。さらに集中力を必要とする闘牛という競技に、撮影は妨げにはならなかったのか。「2003年に監督のスティーヴン・ヒギンズとニーナ・ギルデン・シーヴェイに映像化について話を聞かされたんだけど、そのときは闘牛士としてまだ新米で、プロとして今後どういった成長を遂げていくのか自分自身でも非常に興味があり、いい機会だと思ったんだ」と当時を振り返り、「撮影スタッフたちは、僕の仕事を尊重し、必ず一定の距離を保ちながら、僕の付き人のような感覚で自然にやってくれたから、ありがたかったよ」と満足気な様子。
「初めから闘牛ができることに興奮し、恐怖感を感じる余裕はまったくなかった(笑)。自分の技術も上達して、自信もついたしね」と語るファンディだが、一度、牛の角に胸をえぐらたことがある。しかし、競技場で手術をし、同じ日にその場所で闘牛を行った(!)「手術中は僕の胸をえぐった牛を倒すことしか考えていなかった! このケガが僕の闘志に油を注いだんだ!」と闘牛史上、例のない偉業をやってのけたファンディは目を輝かせながら語ってくれた。
劇中で動物愛護団体からの非難が描かれるが、この生死を賭けた伝統ある究極の競技を知る必要があるだろう。現在ファンディは、ケガをした2007年を除いて、2005年から2008年まで頂点に立っている。(取材・文:細木信宏 / Nobuhiro Hosoki)