下ネタ、障害者ジョーク…タブーに挑むファレリー兄弟、ホントの狙い!?
第1回したまちコメディ映画祭in台東での新作映画『ライラにお手あげ』上映に合わせて、初来日したファレリー兄弟の弟ボビー・ファレリー。時にやり過ぎとの非難も受ける、突き抜けた下ネタで知られるファレリー兄弟だが、その裏には、安全策からステレオタイプ化、マンネリ化に走る映画産業への違和感があった。
彼らの代表作映画『メリーに首ったけ』以来となる、ベン・スティラーとのコンビ作『ライラにお手上げ』は、ここ数年ハートフルなロマンチック・コメディーが続いていたファレリー兄弟にとって久々のR指定作品。『メリーに首ったけ』の有名な“精液ヘアジェル”を超える、ヒロインの強烈な応急処置のシーンについても「僕たちは、体を使った視覚的な笑いが好きなんだ。こうした笑いは、国境に関係なく笑えるからね」と満足げに振り返る。
下ネタ批判にとどまらず、自作で多用される動物ネタや人種および障害者ジョークについても、賛否両論あるファレリー兄弟だが、ボビー監督の主張は明確だ。「映画に出演してもらっていることもあって、僕たちには、障害を抱えた友だちがたくさんいるんだ。彼らは自分たちが映画から完全に排除されていること。または登場しても“味気のないイイ人”といった平面的な形でしか描かれないことに不満を持っている。そこには本来あるはずの人間らしさが、まったくないからね」と及び腰の制作陣を批判。その言葉通り、結合双生児が主役の映画『ふたりにクギづけ』、知的発達障害のあるフリをした主人公が障害者のスポーツ大会“スペシャル・オリンピックス”に忍び込む映画『リンガー! 替え玉★選手権』(製作のみ)など、おバカ&ハートフルな障害者コメディーを次々と送り出してきた。「僕たちは、主役、悪人、善人とどんな役でも、障害のある人たちに演じてもらいたいと思って、いつもキャスティングしているんだ」と語る。
不健全な映画界のタブーを嫌い、そこに笑いで挑戦するファレリー兄弟の作風は、『ライラにお手あげ』でも健在。「スタジオ側は主人公がヒロインと結ばれ、キスして終わるという同じ結末を毎回求めてくるし、観客も『やっぱりハッピーエンドがいい!』と言う。観る前から結末がわかって観ているんだから、これにはイライラさせられるね。だから今回のエンディングでは、観客を置き去りにすることなく、何か一味違うことをやりたいと思ったんだ」とニンマリ。典型的なロマコメにちょっぴりスパイスを利かせた、ファレリー兄弟らしいエンディングに期待してほしい。
DVD『ライラにお手あげ』は2009年、角川エンタテインメントより発売予定