カンヌで4作連続主要賞受賞!名匠ダルデンヌ兄弟が“逆説的な愛”について熱く語る
25日、映画『ロルナの祈り』のPRのためベルギーの名匠ジャン=ピエール・ダルデンヌとリュック・ダルデンヌ兄弟が、主演女優アルタ・ドブロシと来日し、ホテル西洋銀座で記者会見を行った。
本作は、ベルギー国籍を得るために偽りの結婚をしたアルバニア人の女性ロルナが、いつしか相手の男を愛するようになるというラブストーリー。とはいえ、そこはダルデンヌ兄弟。この物語は単純なラブストーリーではない。
「このラブストーリーは、男が消えてしまったところから発展していき徐々にその姿を現します。つまり、愛の主体が消滅して初めて愛の対象になる、という極めて逆説的な愛の物語なのです」と兄のジャン監督は語る。ダルデンヌ兄弟の描いた愛の奇跡を深く理解してもらうために、あえて内容に踏み込むと、物語はその後、空想上の子どもをロルナが自分の中に作り上げるという予想もつかない展開を見せる。「それが架空の子であるゆえに、彼女は変わることができて、より人間的になるのです。これがわたしたちの作ったラブストーリーです」と兄のジャン監督は説明した。果たしてその父親が誰か、彼女の愛は狂気なのか、母性なのか、ぜひ映画を観て答えを探してほしい。
ダルデンヌ兄弟は、質問には兄と弟が交互に答え、時にはお互いの意見をフォローするなど絶妙のコンビネーションを見せてくれた。それは「弟とは実はもう100年くらい前から映画を一緒に撮っています(笑)」と兄のジャン監督がジョークを飛ばすほどの名コンビ。アルタも「この二人は一心同体なので、つい現場でも二人いることを忘れてしまうんです(笑)」と苦笑していた。
『ロルナの祈り』は、カンヌ国際映画祭で、映画『ロゼッタ』『ある子供』で2度のパルムドール、映画『息子のまなざし』では主演男優賞、そして本作で脚本賞と4作連続で主要部門を受賞するなど快挙を成し遂げたダルデンヌ兄弟の最新作。
映画『ロルナの祈り』は2009年新春より恵比寿ガーデンプレイスほかにて全国公開