『フォー・クリスマス』が2週連続1位に!シーズンものは強し!-12月8日版
全米ボックスオフィス考
食傷気味のサンクスギビング(感謝祭)も過ぎ、今週末の全米興行収入は予想通り大きな変動もなく、第1位も先週と同じ映画『フォー・クリスマス』(原題)に決定した。
今週は1,818万ドル(約18億1,800万円)を記録した同作品は、先週と比べて収入額は41.5%の下降。どんな作品であっても、2週目は下降するものの50%未満の下降というのは安泰のカテゴリーに入る。
続いての2位は先週の3位から返り咲いたティーン・バンパイア映画『トワイライト~初恋~』で、推定興行収入1,320万ドル(約13億2,000万円)。同作品でヒロインのベラを演じたクリステン・スチュワートが、1980年代の人気ロックバンド、ザ・ランナウェイズの衰退を扱った映画『ザ・ランナウェイズ』(原題)にてボーカリストで主役のジョーン・ジェットを務めることになり、こちらも話題を集めている。
第3位はディズニーアニメの映画『ボルト』(原題)。先週の売り上げに比べて驚きの64%の下げ幅となり、推定970万ドル(約9億7,000万円)の売り上げとなった。今年の秋と冬にディズニーは、実写のワンちゃん映画『ビバリーヒルズ・チワワ』(原題)も公開しており、『ボルト』(原題)も主人公が犬ということで、ディズニーと犬のコンビネーションがファンの間で“犬疲れ”を招いたのかもしれない。
今週4位は700万ドル(約7億ドル)の興行収入でニコール・キッドマンと、ヒュー・ジャックマン主演の映画『オーストラリア』。製作会社の20世紀フォックス側が豪語するように、息の長いロングランにつながるかどうか、これからが正念場となる超大作である。
そして今週の5位を飾ったのは、正にロングランの領域に達してきている映画『007/慰めの報酬』で、660万ドル(約6億6,000万円)。今週の世界ランキングでは映画『マダガスカル2』に王座を譲ったものの、依然として堂々の2位となっており、場合によっては1位に返り咲く可能性も十分残されている。ちなみに今週の『マダガスカル2』のランキングは、第6位だった。
今週公開されたマーベル・コミックのアクションヒーローものの映画『パニッシャー:ウォー・ゾーン』(原題)は2,508件もの劇場で公開したにもかかわらず、400万ドル(約4億円)の売り上げという残念な結果に終わった。同作品で、2004年に1週目売り上げ1,380万ドル(約13億8,000万円)を記録した第1作目の映画『パニッシャー』を上回る、大々的カムバックを目指そうというマーベルのゴールは、はかなく消え去ってしまった。
『パニッシャー:ウォー・ゾーン』(原題)とは対照的に、公開館数はニューヨーク、トロント、ロサンゼルスの計3館と非常に少ないものの、一館あたりで6万49ドル(約600万4,900円)を売り上げた“小さな巨人”がいる。今週初公開の映画『フロスト/ニクソン』(原題)という映画だ。1970年代なかばの大統領政権崩壊後のリチャード・ニクソンと、イギリスの野心的テレビホストとのこっけいなドラマを描いたこの作品は、早くもアカデミー賞候補とのうわさが飛び交い、監督が大ベテランのロン・ハワードであることもあって、ちまたで話題となっている。来週は全米公開となっているこの映画が、ランキングでどのような結果になるか興味が持たれている。
さて次週末の初公開作品だが、なかなか粒ぞろいだ。まず大作からいくとキアヌ・リーヴス主演の映画『地球が静止した日』。日米同時公開の同作品は、某インターネットサイトが映画ファンに行った投票によると44.4%の人がオープニング当日に同作品を観に行くと答えており、この結果が興行収入につながる可能性は大。
このほかに、ケイト・ウィンスレットとレイフ・ファインズ主演の映画『ザ・リーダー』(原題)、ベニシオ・デル・トロがキューバ革命のヒーロー、チェ・ゲバラを演じる映画『チェ 28歳の革命』『チェ 39歳 別れの手紙』、そして今回のアカデミー賞にてデッドヒート必至のメリル・ストリープとフィリップ・シーモア・ホフマン主演映画『ダウト』(原題)、アニメ作品映画『デルゴ』(原題)などが控えている。(取材・文:神津明美 / Addie・Akemi・Kohzu)