スーパーボウルになんか負けない!『テイクン』が1位に-2月2日版
全米ボックスオフィス考
久々にスクリーン登場のリアム・ニーソン主演の、誘拐サスペンスドラマ映画『テイクン』(原題)が、2,470万ドル(約22億2,000万円)の興行収入を収めて、今週末の全米ナンバーワン映画に輝いた。(以下1ドル90円計算)
この週末はアメリカで最も盛り上がるスポーツの一つである、アメフトの祭典スーパーボウルが行われた。西海岸時間で午後3時から夜まで続くスーパーボウルのテレビ中継のせいで、毎年全体的に映画館への客足が激減する。だから本来ならば映画関係者にとってはあまり歓迎できない週末なのだ。
だが今年は違った。何とボックスオフィスで、歴代のスーパーボウル・ウィークエンド収入記録ナンバー2という結果が出たのだ! しかもスーパーボウルという強敵だけでなく、アメリカの景気がどん底という状況の中ということもあり、映画の力のすごさを証明している。
ちなみに歴代のナンバーワンは去年の映画『ハンナ・モンタナ/マイリー・サイラス:ベスト・オブ・ボス・ワールズ・コンサート・ツアー』(原題)なのだが、キッズやファミリー向けの映画でない『テイクン』(原題)がここまで好成績を残したことは、関係者にとってうれしいサプライズで、20世紀フォックス関係者たちはニコニコしているだろう。ちなみに、普段ならスーパーボウルに取られてしまう男性客の入りもなかなかの割合で、『テイクン』(原題)を観に来た52パーセントは男性で、そのうち60パーセントは25歳以上だったという結果が出た。
第2位は理解しがたい人気で(!?)、いまだ上位に食い込んでいる映画『ポール・ブラート:モール・コップ』(原題)の1,390万ドル(約12億5,000万円)。アメリカの映画ファンの間ですら愚作の代表としてしばしば笑いの種にされているこの作品だが、最後に笑うのはこの映画の関係者たちのようである。現時点で、すでに合計8,325万ドル(約74億9,200万円)も売り上げている同作品が、大台の1億ドル(約90億円)に達する日もそう遠くはなさそうだ。
また3位に入ったのは、2004年度日本公開された韓国ホラー映画『箪笥<たんす>』のアメリカ版リメイク映画『ジ・アンインバイテッド』(原題)で1,033万ドル(約9億2,970万円)。順位だけ見ると成績上々のようだが、以前アメリカでリメイクされたほかの韓国ホラー映画に比べると、今回はかなり悪かったようで関係者をガッカリさせている。
そしてもう一本、関係者たちをガッカリさせた映画がある。それは、レニー・ゼルウィガーの新作ラブコメ映画『ニュー・イン・タウン』(原題)だ。週末初登場だったにもかかわらず8位にランクイン。1,941館と、決して少なくない館数で封切られたにもかかわらず、成績はさえない。
さて、チャートに戻ると、4位が先週と同ランクの映画『ホテル・フォー・ドッグス』(原題)で863万ドル(約7億7,700万円)、そして5位が先週の3位から2ランクダウンでクリント・イーストウッドの話題作映画『グラン・トリノ』で823万ドル(約7億4,070万円)という結果だった。
ちなみに『グラン・トリノ』は、観客動員数では1978年度コメディー作品の映画『ダーティファイター』に劣るものの、イーストウッドのキャリアの中で一番の収入を記録した作品となった。
日本の若い映画ファンは『ダーティファイター』なんて聞いたことない、という方々も多いのではないだろうか。実はこの作品、アメリカではイーストウッドの作品の中ではもちろんのこと、コメディー映画のクラシックの域に達するくらいの名作なのだ。イーストウッドが、愛嬌(あいきょう)タップリのオランウータンとコンビを組んでいて、その様が笑える大人気となった作品だ。映画『ザ・シークレット・サービス』『スペース・カウボーイズ』のおちゃめなイーストウッドが好きな方に、『ダーティファイター』はお勧め作品である。(取材・文:神津明美 / Addie・Akemi・Kohzu)