アカデミー賞の後に、『スラムドッグ$ミリオネア』が2位へジャンプ!-2月23日版
全米ボックスオフィス考
オスカー直前だった2月20日から22日の週末に全米興行収入1位となったのは、日本ではあまりなじみのないコメディアンのタイラー・ペリーが、女装して主人公を演じる“マデアおばさんシリーズ”の第2弾で4,100万ドル(約36億9,000万円)の興行成績を収めた、映画『タイラー・ペリーズ・マデア・ゴーズ・トゥ・ジェイル』(原題)だった。今週末もアメリカの映画業界は好景気で、去年の同時期と比べて約29パーセントの売り上げ増加と、不況もどこ吹く風……のように見える(実際はそうではないのだが……)。(以下1ドル90円計算)
一方第2位は、1,140万ドル(約10億2,600万円)の成績を収めた、映画『コラライン』(原題)だった。封切りから、たったの17日間で5,380万ドル(約48億4,000万円)も稼ぎ出している。『コラライン』(原題)を公開している2,155館中1,098館は3Dで公開しており、売り上げの約77パーセントは3D公開館からのものだ。これからますます増えてくるであろう3D映画は、ハリウッド映画業界の新しいトレンドとなるだろう。
1,128万ドル(約10億1,500万円)の成績で3位となったのは、依然として人気をキープし続けているリーアム・ニーソン主演のサスペンス映画『テイクン』(原題)である。いくらジェダイの騎士を演じたリーアムとはいえ、どちらかといえば地味なサスペンスものでここまでの興行収入を稼ぎ出すとは、かなり意外である。もしかするとフォースの力が働いているのかも……!?
次に4位は、先週の2位からダウンした映画『ヒーズ・ノット・ザット・イン・トゥ・ユー』(原題)で856万ドル(約7億7,000万円)の成績。意外と早くランクダウンしてしまった。
そして5位は、世界の映画賞を総なめにし、アカデミー賞で8部門を受賞した映画『スラムドッグ$ミリオネア』で、838万ドル(約7億5,300万円)の売り上げ。
『スラムドッグ$ミリオネア』の興行収入で興味深いのは週末の成績ではなく、月曜日の成績である。週末統計では5位だった同作品が、アカデミー賞8部門を受賞した翌日の月曜日には『コラライン』(原題)をけ落として、第2位にジャンプアップしたのだ。この現象からわかるのは、アカデミー賞が及ぼす興行収入への大きな影響である。この多大な恩恵にあやかろうと映画スタジオは、毎年、時には何千万ドルという大金をかけて、アカデミー賞受賞のためのキャンペーンを繰り広げるのである。
アカデミー賞の後、映画業界はひと休みといった感じで、目ぼしい話題作は少ない。久々登場のハリソン・フォード主演映画『クロッシング・オーバー』(原題)、そしてミーシャ・バートン主演、共演でブルース・ウィリスが校長先生役で出演しているダークコメディー映画『ザ・アサンシネーション・オブ・ア・ハイスクール・プレジデント』(原題)、テレビドラマ「ER 緊急救命室」のドクター・カーターでおなじみのノア・ワイリー出演の映画『アメリカン・アフェア』(原題)、そして人気ビデオゲームを基にした映画『ストリートファイター ザ・レジェンド・オブ・チュンリー』などが公開される。