『おくりびと』も選出!トライベッカ映画祭のランナップ決まる
今年で第8回を迎えるトライベッカ映画祭のラインナップが発表され、長編映画86本に決まった。
去年の120本に比べ40本近くも減っているが、昨年も一昨年に比べ40本減だっため、不況の影響とだけはいえない。ただ、この経済状況で、海外記者をわざわざこの映画祭のために招待して取材させるのは難しいようで、今年も宣伝面でトライベッカ映画祭は苦戦を強いられることになりそうだ。これまでも、トライベッカ映画祭の試写は、マンハッタン内の映画館数か所で行われるほか、記者会見もホテルや大学などバラバラな場所で行われており、ニューヨーク映画祭のようにリンカーン・センターで、記者会見も試写もできるような状態ではなかった。今回の本数の削減は、より管理しやすい環境化で、質の高い映画を提供しようとする意思がうかがえる。
そのため、選考された作品の中には、知名度の高い監督が名を連ねている。その中でも注目なのは、スポットライトの部門で、これまでカンヌ国際映画祭やヴァネチア国際映画祭で名をはせた是枝裕和監督の映画『歩いても 歩いても』や、このたびアカデミー賞外国語賞を受賞した滝田洋二郎監督の映画『おくりびと』が選出されている。
アメリカ作品では、一夜20万のコールガールの5日間を描いたスティーヴン・ソダーバーグの映画『ザ・ガールフレンド・エクスペリエンス』(原題)。さらに、オーストラリアの監督ステファン・エリオット(プリシラ、氷の接吻)の『イージー・ヴァーチュー』(原題)、メキシコの監督アルファンソ・キュアロン、(『天国の口、終わりの楽園』『トゥモロー・ワールド』)の『ルド・ワイ・カーシー』(原題)がある。
話題作品としては、ジョン・ハートが主演する映画『アン・イングリッシュマン・イン・ニューヨーク』(原題)で、作家でもあり、俳優としても活躍していたゲイのカリスマ、クエンティン・クリスプを描いた作品で、後にデヴィッド・フィンチャーがMTV時代に撮影していたスティングの曲「イングリシュマン・イン・ニューヨーク」のモデルにもなった人だ。それ以外にも、エリック・バナが初監督を試みたカーレース・ドキュメンタリー『ラブ・ザ・ビースト』(原題)、2006年に殺害されたエイドリアン・シェリーが書いた最後の脚本作品『シリアス・ムーンライト』(原題)などがある。
映画祭は、4月22日から5月3日まで行われ、チケットの値段は、平日の夕方6時前と夜11時以降は8ドル、それ以外の週末と平日夜6時から11時までは15ドルとなっている。(取材・文:細木信宏 / Nobuhiro Hosoki)