『ウォッチメン』が転落、1位はザ・ロックの新作映画に!-3月15日版
全米ボックスオフィス考
映画『ウォッチメン』の2週連続トップは無理であろうという下馬評が当たってしまった……。そんな『ウォッチメン』をけ落とし、3月13日から15日のウィークエンド全米ナンバーワンに輝いたのは、2,440万ドル(約24億4,400万円)の興行収入を収めたディズニー映画『レース・トゥ・ウイッチ・マウンテン』(原題)。1975年の映画『星の国から来た仲間』の再映画化である同作品は現代風にアレンジされており、最近でよく言うところの、リイマジニング版(再構想版)だ。 (1ドル100円計算)
原作では、普通のおじさんが宇宙人の少年と少女を助けるのだが、今作では、根は優しいのだが暗い過去を持つタクシー運転手のジャックが主人公で、映画『スコーピオン・キング』で人気俳優になった元プロレスラーのザ・ロックことドウェイン・ジョンソンが主役を好演している。
脚本がかなり弱く、子役二人と主演であるドウェインの間にまったくコネクションを感じられないのが大きなネックとなっている作品だが、アメリカの子どもたちが春休みに入る時期を見計らっての公開がすでに功を奏しているため(ディズニーの集計によると観客の約3分の2は親子連れ)、次回のランキングがどうなるかに注目が集まっている。
続いて第2位は、『ウォッチメン』。ランキング上は2位にとどまったものの、売り上げ的には大落下の68パーセント減で1,780万ドル(約17億8,000万円)という成績だった。同様のコミック・ヒーロー映画と比べてみると、2008年の映画『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』と2003年の映画『ハルク』に続いて、ワースト落下度を記録してしまった。
初登場第3位となったのは、ホラー映画『ザ・ラスト・ハウス・オン・ザ・レフト』(原題)で1,412万ドル(14億1,200万円)の売り上げ。1972年にホラーの大御所ウェス・クレイヴンが脚本・監督を手掛けた映画『鮮血の美学』(原題(ラスト・ハウス・オン・ザ・レフト)はタイトルにTheが付いていないところがミソ)の後編ともいえるこの新バージョンは、原作で惨殺を働いた犯人たちが、殺したティーンエイジャーの両親宅にそうとは知らずに迷い込み、その両親に血みどろの逆襲を受けるというストーリーだ。
次に第4位は、7週目になってもトップ5に残り、先週からたったの10.4パーセントしか売り上げが減らず、657万ドル(約6億5,700万円)の収入を上げた、映画『テイクン』(原題)だ! 今年はこの先どんな作品が出てこようとも、『テイクン』(原題)には最高殊勲賞をあげたいほどで、この映画の持続力にはまったく驚かされるばかりである。ちなみに第5位は、先週の第2位からダウンの映画『タイラー・ペリーズ・マデア・ゴーズ・トゥ・ジェイル』(原題)で511万ドル(約5億1,100万円)の売り上げだった。
さて、次週のチャート争いは混戦が予想される。3月20日の封切り作品は中型作品が多いとはいえ、強力なライバル同士がひしめき合っているのだ。
まず、久々登場のジュリア・ロバーツ主演、クライヴ・オーウェン共演の映画『デュプリシティ ~スパイは、スパイに嘘をつく~』。昔ただならぬ関係(!?)にあった、元CIAのクレア(ジュリア)と元MI6のレイ(クライヴ)が、企業スパイに転向したはいいが、ライバル企業のスパイとしてはち合わせしてしまうことから始まる、コメディー・サスペンス。かなり面白そうなので大期待!
だが、ここで他社がおとなしく黙っているわけがない! 今週末はこのほかにも期待のコメディーで、結婚を目前に控えた男同士のあつ~い友情(!?)を描いた映画『アイ・ラブ・ユー、マン』(原題)、そしてニコラス・ケイジ主演のサスペンス映画『ノーウィング』(原題)が特撮のてんこ盛りで登場する。あと小粒だがサラ・ジェシカ・パーカー主演の南部の人種差別問題を描いた映画『スピニング・イントゥ・バター』(原題)などがあり、これらの作品が、『レース・トゥー・ウイッチ・マウンテン』(原題)の王座を狙うことになりそうだ。取材・文:神津明美 (Addie Akemi Kohzu)