柴咲コウ、日本版『アメリ』のヒロインに!
女優、柴咲コウが、新人作家の小川糸さんによる売上部数26万部突破のベストセラー小説「食堂かたつむり」の映画化作に主演することになり1日、配給元の東宝より発表された。
失恋をきっかけに、心因性失声症を患った主人公の倫子が食堂を始め、愛情を込めた料理で客の人生に影響を及ぼしていく一方、確執があった母親と和解していく姿を描くファンタジードラマ。倫子の母親役には余貴美子。メガホンを取るのは、CMやアニメーションを中心に活躍してきた富永まい監督。2003年に、サンダンスNHK国際映像作家賞を受賞した初の長編映画『ウール100%』に続く長編2作目となる。
柴咲は、私生活では掃除・洗濯など家事は得意で、玄米ごはんや黒米を土鍋で炊き、おせち料理も作る腕前という大の料理好き。昨年秋、同映画のプロデューサーから「倫子には柴咲さんしかいない!」とラブコールを送られ、渡されたシナリオに感動して「生きる上でとても大切な『食べる』ということと、ただそれの描写だけではなく、そこから生まれる人と人とのつながりを温かく深く感じた」と快諾した。
すでに5月16日から今月下旬までの予定で、長野県と東京都内ほかで撮影中。倫子が食堂でザクロカレー、サムゲタンなど多国籍の料理を作るシーンに、ほぼ吹き替えなしで挑む柴咲は「自信があるわけではないのですが、日々の家での生活を飾らずに、プラス懸命に愛情を込めてできれば大丈夫だと思います」と楽しみながら得意の料理の腕前を披露する。心因性失声症を患い、回想シーン以外、ラストまでひと言も話さないという難しい役どころにも「自分の感化されやすい部分を生かせたら、と思います。作りこむのではなく『そこ』にたたずむことで自然と倫子になれるような」と感性勝負で気負いなく臨む。
今年は本作が、唯一の出演映画となることもあり「他人からすれば小さな穴や傷も、当人にとっては大きな壁となったりする。そんな自分を慈しみ、周囲を愛せるようになれるような、じんわり心に届く作品になると思います。一生懸命やらせていただきます」と意気込んでいる。
原作は、2008年1月にポプラ社より刊行され、20代から30代の女性読者を中心に支持を集めていた。小川さんは「富永まい監督が作品をどう料理してくださるのか、柴咲コウさんがどういう倫子を演じてくださるのか、一観客として、今から本当に楽しみです。原作の枠をぐんぐん超えて、もっともっとすてきな作品になりますように!」と喜びのコメントを寄せた。
映像化権に関して、テレビ局、映画会社、映像制作会社計23社による争奪戦が繰り広げられ、富永監督が、本作の世界観を表したイメージイラストを、原作の小川さんとポプラ社から絶賛され、白羽の矢を立てられた。東宝は、原作の独特な世界観を基に、アニメーションやCGなども織り交ぜ、「日本版『アメリ』のような映画作品を目指す」と話している。
映画『食堂かたつむり』は2010年、全国公開