園監督、新作映画『ちゃんと伝える』ではEXILEのAKIRAにサラリーマンになるよう指示!
園子温監督がEXILEのパフォーマー、AKIRAの初主演作映画『ちゃんと伝える』について語ってくれた。本作は、病床の父親を見舞うサラリーマンが、自らも病に侵され、父親よりも余命が短いことを知り、残された時間をどう生きるべきか葛藤(かっとう)する感動ドラマだ。
映画初主演となるAKIRAの起用について「まず彼を主演でというお話をもらったのがきっかけです。ただし僕としてはEXILEのカラーをはぎ取っちゃうつもりで、まっさらな新人俳優として撮ろうと思ったんです。だから、何年も伸ばしていた髪の毛も切るように言いましたし、ヒゲもそって、サラリーマンのスーツを着るように言ったんですよ。彼も片手間でやっているつもりではなく、本気でやりたいということだったので、一緒にやることになりました」と予想外のキャスティングについて語った。
タイトルにちなみ、園監督自身が親に言えなかったことについて聞いてみた。「いろいろあるんですが、これまでの僕の映画には、親に対する憎しみや怒りみたいなものがありました。ただ今回は、父親が1年前に亡くなったということもあり、それまで描いていたものを忘れ、和解してみたくなったんですね。あくまで映画の中ですけど。現実には、だいぶ前に和解していて、仲良くやっていましたけどね」とのことだ。
本作がニューヨーク・アジアン・フィルム・フェスティバルのクロージングナイトを飾ることについて「セミや霊きゅう車も含めて、あくまで日本人向けの作品だと思っていて、海外に出すつもりはなかったんですよ。だから、アメリカでの評判はそこまで気にしていません」と語ったが、父親と子の普遍的な題材を扱ったこの映画は、アメリカ人の間で評判となった。
次回作はハリウッド映画になる予定の園監督。「映画『トワイライト~初恋~』に出演したジャクソン・ラスボーンを起用して映画『ロード・オブ・カオス』(原題)という作品を撮るんです。クランクインは9月で、その準備とそのほかのキャストを決めるオーディションをこれからやります。ジャクソンと契約したときは、『トワイライト~初恋~』で売れる前で『この男は、絶対後で売れる俳優になるから、今のうちにサインしとけ!』ってプロデューサーに言ったんです。プロデューサーは信じていませんでしたけど」と彼の千里眼は、ここでもさえていたようだ。(取材・文:細木信宏 / Nobuhiro Hosoki)
映画『ちゃんと伝える』は8月22日より全国公開