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環境問題を考える原点的作品完成!農薬問題を告発した小説がケネディ大統領に認められたことが出発点

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ロバート・ストーン監督
ロバート・ストーン監督 - Photo:Nobuhiro Hosoki

 ビキニ水爆実験を描いた映画『Radio Bikini』(原題)でアカデミー賞ドキュメンタリー部門にノミネートされたロバート・ストーン監督が、新作ドキュメンタリー映画『Earth Days』(原題)について語ってくれた。本作は、環境についてのさまざまな著名人のインタビューを交えて、現在の環境問題を新たに見つめ直す作品だ。

 農薬類の問題を告発したレイチェル・カーソンのベストセラー小説「沈黙の春」を読んだ当時のアメリカ大統領ジョン・F・ケネディが、レイチェルをバックアップしたことで環境問題に大きな変化をもたらした。「レイチェルがこの本を執筆したとき、彼女は学者として扱われていなかったし、女性であったことから、保守派の人々や農薬会社の人たちからバッシングを受けていたんだ。『ヒステリックな女性で、信憑性の足りない話!』とメディアを通して言われたり」と当時のレイチェルに対する風当たりを説明するロバート監督。

 ところが、当時内務長官だったスチュワート・リー・ユードルが、ケネディ大統領に「沈黙の春」を読むよう勧めたことから状況は一変した。「それまで非難していた連中を黙らせ、結局その書籍が環境問題のバイブルとして世界中で知られるようになったんだ。最終的には、この動きが環境問題を考える上での大きな出発点になったというわけだ」と1962年に発表された書籍が、現代まで続く環境問題を考える大きな起点になったことを明かしてくれた。

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 多くの政治家が環境問題に触れたがらないのは、やはり長期的問題になるからなのだろうか?「一定の期間限られた任務をこなさなければいけない政治家たちにとって、長期的問題である環境問題について触れることは、まったく政治的利点がないわけだよ。だからワシントンや政治家、役人だけの問題である限り、解決は難しいだろうね。この問題は、1970年代の環境問題の動きを見れば一目瞭然さ」と国ではなく、個人の変化が必要であると強調する。

 1970年4月22日、アメリカで行われた環境に対する抗議デモ(アース・デイ)には約2,000万人が参加した。「政治家や当時の大統領リチャード・ニクソンらがすぐに環境問題に対応したんだ。任期中、水質汚染防止法や大気浄化法が連邦法として可決されているし、その施行の際に、米国環境保護庁を設置して、その連邦法を管理することになったんだ。もちろんこのほかにも多くの法案が可決された。このデモが現在に至る環境問題に大きな影響を及ぼしたのは事実だね。それまで環境問題に触れることのなかったニクソン大統領を動かしたんだから」とのこと。

 これまでに、元副大統領アル・ゴアによる映画『不都合な真実』など環境問題にフォーカスした映画はたくさん製作されている。本作は、統計などを使わず、環境問題の重要性と歴史を教えてくれる1本になっている。(取材・文:細木信宏 / Nobuhiro Hosoki)

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