リュック・ベッソン、この映画にブルース・ウィリスはいらないとキッパリ
第22回東京国際映画祭
23日、六本木ヒルズのムービーカフェで、第22回東京国際映画祭コンペティション部門出品作品の米映画『NYスタテンアイランド物語』の記者会見が行われ、ジェームズ・デモナコ監督が登壇した。
本作はニューヨーク州のスタテンアイランドを舞台に、生まれてくる子どものために強盗を計画するバキュームカーの運転手、森の保護に目覚めたギャングのボス、万馬券を当てた聾唖(ろうあ)の総菜屋店員と、3人の男たちの人生が交錯するドラマだ。会見では、リュック・ベッソンが製作に参加したことに触れて、「実はこの作品は、最初の出資者にブルース・ウィリスを出してくれと言われて困っていました。しかし途中でリュック・ベッソンがお金を出してくれることになったときに、この映画にブルースはいらないと言ってくれたんです。彼に感謝しています」と、意外なベッソンのサポートを明かしてくれた。
さらに会見中に日本映画好きであることを告白したデモナコ監督は、市川準監督の映画『トニー滝谷』が大のお気に入りだそうで、「ゆったりとしたペースが本作を作る際のインスピレーションとなった」と教えてくれた。さらに映画『うなぎ』についても「観た瞬間に恋に落ちた。ごく普通の人が普通でない状況に陥ってしまうというところは、脚本を書く際の参考になった」と、日本映画からの影響を切々と語っていた。
リュック・ベッソン製作ながら日本公開は未定。しかし、『交渉人』『アサルト13 要塞警察』など、これまで多くの脚本を手がけたデモナコ監督だけあって、ひとつの事件を3人の視点から描き出し、その3つの物語が非常に巧みに絡み合う構成は非常に見事。イーサン・ホーク、ヴィンセント・ドノフリオ、シーモア・カッセルと通好みの名優たちによるいぶし銀の演技合戦も注目で、映画上映後も観客から「みんなに観てもらいたいので、是非日本での公開をして欲しい」との感想が飛び出していた。