砂漠で映画を上映?インドでの夢のような上映方法が明らかに!
第22回東京国際映画祭
21日、六本木ヒルズのムービーカフェで、第22回東京国際映画祭コンペティション部門に出品されているインドとアメリカの合作映画『ロード、ムービー』の記者会見が行われ、デーウ・ベネガル監督とプロデューサーのフレッド・ベルガーが登壇した。
本作は、1990年代に現代インド映画の先駆的存在と呼ばれたベネガル監督10年ぶりの新作。父親のヘアオイルビジネスに嫌気がさした青年が、そこから逃れるように映写機とフィルムを乗せた古いトラックで砂漠を横断するロード・ムービーだ。砂漠の真ん中に巨大なスクリーンを設置して、映画を投影するシーンは非常に幻想的で、ベネガル監督の映画への愛情がたっぷり詰まった作品となっている。本作のように、トラックに映写機とフィルムを積む移動上映のスタイルはインドでは一般的で、全体の70パーセントがこの形式だという。ベネガル監督は、「わたしが実際に移動上映を見たのはボンベイから6時間くらいの何もない砂漠でした。(上映開始時間から)4、5時間くらい経ってからようやくポツポツと人が現れはじめ、最終的には3,000人が集まって、みんな夜明けまでずっとそこで映画を観ていたのです。翌朝には跡形もなくなっており、あれは夢だったのだろうかと思えるような不思議な体験でした」と本作のワンシーンを彷彿とさせるような自らの体験を話してくれた。1回の上映に3,000人が集まったというだけでも驚きだが、別の上映会の時には「何と3日間で40万人が映画を観に来た」と明かし、取材陣を驚かせた。
さて、そこではいったいどんな作品を上映しているのか気になるところだが、「その地域に関係の深いインディペンデント映画を上映していました。以前に映画『タイタニック』上映のオファーがあったらしいんですが、観客は船を見たことがないから、見せてもわからないんだと言って断ったらしい」と話し、笑いを誘っていた。
映画『スプリット・ワイド・オープン~褐色の町~』がヴェネチア国際映画祭で上映され、7つの国際的な映画賞を受賞するなど、世界的に評価の高いベネガル監督であるが、娯楽性と芸術性がバランスよく融合するユーモラスな監督のスタイルは本作でも健在だ。