草刈正雄の娘・麻有、16歳にして44歳の中村達也を一途に愛する役を熱演
19日、映画『蘇りの血』が公開初日を迎え、渋谷ユーロスペースで、豊田利晃監督、出演の中村達也、草刈麻有、渋川清彦、新井浩文が舞台あいさつを行った。
30~40代のいかつい男たちに囲まれ、ひと際、清楚(せいそ)でかれんに見えた16歳の草刈。彼女は俳優・草刈正雄の娘で、オーディションで本作のヒロインに大抜擢されたという。「(本作で演じた)テルテ姫はとにかく一途な女の子なので、そこを意識して演じました。愛するオグリを思い、イザリ車を引くシーンはぜひ注目してほしいですね」と堂々とコメントした。とはいえ、撮影がスタートしたころは、新井に「豊田監督ってどんな方なんですか?」と聞くなど、戸惑いもあったようだ。新井は「何を仕掛けてくるかわかんない人だから気を抜くなと答えましたよ」と笑いながら、「案の定、あるシーンでは『タイミングも間も全部変えて演じてみろ』といわれて。でも、草刈さんは一発OK。さすがでした」と振り返った。
豊田監督にとって本作は『空中庭園』以来、4年ぶりの監督作品。映画館入口には「おかえりなさい、豊田監督」と書かれた大きな横断幕が飾られ、ファンの熱望ぶりがうかがえた。「紀州の熊野古道を旅したときに、『蘇生の地』という石碑に出合い、人が蘇る瞬間を映画に撮りたいと思ったんです。そして、蘇る人が中村達也であることが、ぼくにとっては意味がありました」と本作を作ったきっかけと、天才ドラマーの中村を主役に選んだ理由を話した豊田監督。映画の舞台は手つかずの大自然の中。豊田監督は「(今いる)渋谷のような広告都市とは真逆の場所です。都会にうんざりしている人がこの映画を観て、力を得てくれれば幸せですね」と締めくくった。
本作は歌舞伎や浄瑠璃の演目「小栗半官」がモチーフ。世界を支配する大王(渋川)が患う業病を癒すために招かれた天才按摩・オグリ(中村)。大王は自分に忠誠を誓わないオグリに腹をたて、殺してしまうが、ある男の計らいで、オグリは心身の自由を奪われた姿で現世に戻ってくる。オグリに密かな思いを寄せるテルテ姫は彼を人間の姿へと蘇らせようと不思議な力を持つ“蘇生の湯”を目指すことに……。
映画『蘇りの血』は渋谷ユーロスペースほかにて全国公開中。