『シャーロック・ホームズ』もそろそろ息切れ…すべての作品『アバター』のせいで頭打ち -1月12日版
全米ボックスオフィス考
「最初のもうけが大きいほど落ちるのも速い」というボックスオフィスの傾向を破り、週末に5,030万ドル(約45億2,700万円)の興行成績を上げた映画『アバター』は、封切り1か月目における興行収入の歴代記録を破るという偉業を成し遂げ、引き続き全米ナンバーワンの王座にとどまった。(1ドル90円計算)
『アバター』が達成した歴代記録は、こちらもジェームズ・キャメロン監督映画『タイタニック』がそれまで持っていた記録2,870万ドル(約25億8,300万円)を破る記録。先週の売り上げから比べてもたったの27パーセントの降下率と、公開後4週目の作品にしてはかなりの出来である。さらに、IMAXの売り上げを見ると作品のスタミナ度が如実に現れており、降下率はたったの14パーセント。IMAX上映からの売り上げのみで750万ドル(約6億7,500万円)という結果を出している。
『アバター』は、公開後たったの23日間で4億ドル(約360億円)の興行収入大台を突破しており、映画『ダークナイト』が記録した24日目にして4億3,080万ドル(約387億7,200万円)にはわずかに追いつかなかったものの、映画『トランスフォーマー/リベンジ』、そして映画『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』を抜いて、封切り24日以内における王者の歴代2位につけている。1月11日(月)には、映画『スターウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』、そして映画『E.T.』を抜き、歴代総合ボックスオフィス・ランキングの第5位についている。
『アバター』に比べると、第2位の映画『シャーロック・ホームズ』は、前記したボックスオフィスの傾向に習い、封切り後3週目に来てすでに息切れ気味だ。先週に比べると54.7パーセントダウンの1,659万ドル(約14億9,310万円)という成績。それでも同作品は、すでに製作費を優に超える約1億6,520万ドル(約148億6,800万円)の総合売り上げをたたき出しており、『アバター』のせいで頭打ちになってはいるものの、まずまずの成績といえるだろう。
先週と同じ第3位に収まったのは、映画『アルビン・アンド・チップマンクス:ザ・スクイコール』(原題)で1,657万ドル(約14億9,130万円)の売り上げで、先週からの下降率は53パーセントだった。
第4位は、今週初登場の映画『デイブレーカー』(原題)で1,515万ドル(約13億6,350万円)。2,523館でオープンしたものの同様作品だったジョシュ・ハートネット主演の映画『30デイズ・ナイト』や、映画『アンダーワールド』シリーズをぐんと下回る売り上げを示している。
第5位は、先週から1ランクダウン、メリル・ストリープ主演のコメディー・ドラマ映画『恋するベーカリー』で1,100万ドル(約9億9,000万円)の興行収入。
さて今週末封切りの作品だが、ホリデー大作ラッシュが一息ついた感があり、ラインナップは次に紹介する作品を除いて全体的に地味めである。
その唯一地味でない作品とは、デンゼル・ワシントンが近未来の地球でマッドマックス風のヒーローを演じる映画『ザ・ウォーカー』だ。ゲイリー・オールドマンが久しぶりに悪役を演じており、彼の板に付いた極悪ぶりが久々に痛快である。
次は、ジャッキー・チェン主演のアクション・コメディー映画『スパイ・ネクスト・ドア』(原作)。最近似たような作品が続くジャッキー・チェンだが、それでも彼の人気がどこまでファンを映画館に運べるかが注目される。
最後に、アートハウス系イギリス映画ファンにはたまらないドラマ映画『ザ・ラスト・ステーション』(原題)。ヘレン・ミレンとクリストファー・プラマーという熟年の名優が共演した作品で、アカデミー賞のうわさもささやかれる秀作だ。(取材・文:神津明美 / Addie Akemi Kohzu)