ディズニー・アニメの常識を破った!最新作のプリンセスはキスでは終わらない?
映画『プリンセスと魔法のキス』で監督を務めたジョン・マスカー&ロン・クレメンツ監督に、ディズニー・アニメの常識を破ったともいうべき本作の誕生秘話を聞いた。
本作は、キスでハッピーエンドを迎えるおとぎ話ではなく、キスから始まる物語という点でも、映画『眠れる森の美女』『リトル・マーメイド』『美女と野獣』などとは一味違う。また、ディズニー・プリンセス初となる、アフリカ系アメリカ人をヒロインに迎えたことで話題となった。
「ジャズエイジのニューオーリンズが舞台だから、ヒロインのティアナをアフリカ系アメリカ人に設定したのは自然な流れ」というマスカー監督は、ヒロインの人種が本国で大きく取りざたされたことに、逆に驚いたと明かす。とはいえ、「確かに気を使う点はありましたね」ともらしたのが、ティアナの肌の色について。「たとえば、ハル・ベリーはハーフ・アフリカンなので、彼女をティアナのモデルにしてはダメ。両親共にアフリカ系のティアナの肌は、もっと濃くないと観客に納得してもらえないんです」と 「ファンタジー映画だから」では許されない、デリケートな一面をにおわせた。
一方、「リサーチをして、アフリカ系の方々の家族に対する意識も、非常に参考になりました」と補足するクレメンツ監督。企画当初は、それほど大きな存在ではなかったティアナの父親を、彼女の精神的な支柱となるべき設定に変えたのだという。「今回のコンセプトは、現代的なプリンセス。キャリア志向のティアナの目標は愛をつかむことではなく、自分のレストランを開くことですから」と続け、現代の女性が共感するポイントをアピールした。
実は劇中にもう一つ、ディズニー・アニメの伝統を破った驚きのエピソードが用意されているのだが、その発案者がクレメンツ監督だ。「(製作総指揮の)ジョン・ラセターにプレゼンするとき、『同情せずにいられないキャラクターに、何てひどいことをするんだ』と怒られることも覚悟していましたが、一切反対はされませんでした。しかも完成前に行った試写会で、そのエピソードの最後に客席から拍手が起きたんです。わたしたちの苦労は報われていると思いましたね」と語る表情に、作品への愛情と自信がうかがえる。どんなエピソードなのかは、劇場でのお楽しみだ。
本作は、手描きアニメやミュージカルなど装いはクラシカルながら、新しさとサプライズに満ちたディズニーの新プリンセス・ストーリー。観賞後の幸福感も格別な本作を、ぜひ大スクリーンで味わってほしい。
映画『プリンセスと魔法のキス』は3月6日より全国公開