『パイレーツ・ロック』あのシーンをカットしなければもっとヒットしてたのに!監督が今さら後悔?
ロマンチックコメディーの巨匠リチャード・カーティス監督が、自身が監督した映画『パイレーツ・ロック』で、個人的にはお気に入りのシーンだったが、泣く泣くカットした未公開シーンについて、もし劇場公開時に切らずに残しておけば、興行成績はもっと良かったかも!? とちゃめっ気たっぷりに本音を吐露した。
本作は、1966年のイギリスを舞台に、海上から24時間ロックを流す海賊ラジオ局と、それを規制しようとする政府の攻防を描いた痛快作。映画『カポーティ』のフィリップ・シーモア・ホフマン、映画『ハンニバル・ライジング』のリス・エヴァンスらがクセ者DJを怪演しており、映画と音楽の双方のファンに支持された一作だ。今回の本音発言は、同作DVDの特典映像に収録されている。リス・エヴァンスふんするアメリカ帰りのDJ、ギャヴィンの人間性を説明する「人生の意味」と題された未公開シーンの解説中に起こる。監督はあくまで「個人的な意見」と前置きした上で、「この場面は残したほうが興行成績は良かったかも」とポツリ。確かにギャヴィンの人となりがわかるし、監督いわく、「最高にイカすバーの場面」だ。
そのほか、海賊DJの中心人物、ザ・カウント役のフィリップ・シーモア・ホフマンが、絶対にカットされると断言したという未公開シーン「腕立て伏せ」では、音楽は「大脱走マーチ」をかけ、ロバート・アルトマン監督の映画『M★A★S★H マッシュ』のワンシーンのようにするべく、最後まで残していたというが、結局はカットの憂き目に。また、言葉遊びの下ネタが満載の未公開シーンでは、映画『ブリジット・ジョーンズの日記』『ラブ・アクチュアリー』などのラブコメの名手であるカーティス監督のイメージからは想像もつかないシーンがズラリ! しかも、実体験に基づいたネタが多いと監督自ら告白していて、その経験豊かな人生に驚かされる反面、カットされなければまるで違う本編になっていたと思うと興奮を禁じえない。
カーティス監督の解説は、未公開シーン集のすべてに付いていて、「カットしても全体に影響がないから」と自分に言い聞かせるように独特の語り口でつぶやく監督そのものがとにかく面白い! 特典映像が、独立した作品としても成立している稀有(けう)な事例かもしれない。おかげで、カーティス監督のストーリーテラーとしての面目躍如と言えるのかもしれないが、ともあれ、この特典映像をすべて観れば、監督が描きたかった全体像が丸わかり。劇場公開バージョンとは、ひと味違う楽しみが得られるはずだ。
映画『パイレーツ・ロック』DVDは、3月25日(木)にジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメントから発売(税込み:3,990円)