ハリー・ポッターの最終章ではダンブルドアの弟役!トライベッカ映画祭で最優秀主演男優賞の演技派を直撃!
映画『ミュンヘン』や『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』などの作品で、名脇役として活躍してきたキアラン・ハインズが主役に挑戦した『The Eclipse』(原題)について、キアランと、監督・脚本を務めたコナー・マクファーソンに話を聞いた。
映画『The Eclipse』(原題)は、幽霊の出現に悩まされていたキアラン演じるマイケルが、心霊小説の女流作家レナ(イーベン・ヤイレ)と出会い、恋に落ちていくというストーリー。キアランは、妻に先立たれ、男手一つで二人の子どもを育てている父親役で、トライベッカ映画祭の最優秀主演男優賞も獲得している。今回の役について、「おれは顔がタフに見えるから、今まで大統領に皇帝と力強い役が多かったんだ。でも今回の役は、これまで演じてきた中で一番繊細な役だった」と語ってくれたキアラン。いつもと違った演技ができたことを楽しんでいたようだ。
またキアランは、撮影中のエピソードについても語ってくれた。レナを巡ってマイケルとニコラス(エイダン・クイン)が、殴り合いのけんかをするシーンでのことだ。キアランは、「レナ役を演じたイーベン・ヤイレがおれたちのけんかを止めに入るんだ。でもあまりのシーンの激しさに、イーベンはつま先を骨折してしまったんだよ。それでも彼女はそのことを誰にも伝えず、撮影していたんだ。すごいよ彼女は!」と興奮気味だった。
そんなキアランは、「ハリー・ポッター」シリーズの最終章『ハリー・ポッターと死の秘宝』で、ホグワーツ魔法魔術学校の校長アルバス・ダンブルドアの弟役にも抜てきされた人物。「ハリー・ポッター」への出演について話を聞いてみると、「これまで『ハリー・ポッター』シリーズを読んだことがなかったから、突然デヴィッド・イェーツ監督に呼ばれて驚いたんだ。彼から、前編のために4日間、そして6か月後に撮影する後編のために2、3日間、舞台のスケジュールを調整してくれと言われたんだ。撮影現場に行ってみて、衣装から何まですべてに掛ける予算と時間のすごさに驚いたよ。さすが話題作の最終章だよ。その製作を目撃できて、本当に良かったよ」と笑顔で語ってくれた。
また監督・脚本のコナーに、幽霊を見たことがあるか聞いてみると、「僕が脚本を担当した映画の宣伝をするために、監督とプロデューサーとアイルランドのローカル・ラジオ局を車で回って宣伝していたときに出くわしたことがあるよ。何もない真っすぐな道に、70年代のような服装をした女性が立っていて、こちらをじっと見つめていたんだ。そして、通り過ぎる瞬間だけ怪しげに笑ってみせたんだよ! 僕とプロデューサーはそれを見て、気味が悪いねと言ったんだけど、監督はその女性に全く気付いていなかったんだ。その後すぐに振り返って見たけど、そこにはもう誰もいなかったんだ」と恐ろしいホラー体験を聞かせてくれた。
幽霊の登場する映画でありながら、シリアスなドラマにもなっている『The Eclipse』。舞台でも共に仕事をしたことのあるキアランとマクファーソン監督は、この作品で、お互いの才能を見抜き、その才能を開花させたようだ。(取材・文:細木信宏/Nobuhiro Hosoki)