オスカー像を7回も受け取った、ビリー・ワイルダーって?ロン・ハワードや三谷幸喜も大ファン!
映画史に残る名監督であり、代表作である映画『お熱いのがお好き』が、アメリカ映画協会選出の「笑える映画ベスト100」で第1位に輝くなど、現在でも三谷幸喜ら多くのクリエイターに影響を与えているビリー・ワイルダー監督の魅力を検証した。
オーストリアのウィーン出身のワイルダー監督は、ヨーロッパで新聞記者、脚本家といった職を経て、ハリウッドに渡り、監督第4作目にあたる映画『失われた週末』でアカデミー監督賞と脚色賞、カンヌ国際映画祭ではパルムドールを受賞した。2002年に亡くなるまでにアカデミー賞候補に挙がること何と20回! そのうち7回もオスカー像を手にした。洗練された語り口が特長のワイルダー流エンターテインメントは、当時の映画ファンをとりこにしたのはもちろん、キャメロン・クロウ監督、ロン・ハワード監督、そして日本の三谷幸喜らに多大な影響を与えている。
そんな元祖エンターテイナーの異名を持つワイルダー監督の魅力は、何といっても絶妙なキャスティング。確かな眼力で俳優の才能を見抜き、それを最大限に引き出す手腕によって、マリリン・モンロー、オードリー・ヘプバーンら名女優を輝かせた。また、気に入った俳優を起用し続けることでも知られ、ワイルダー作品に4回起用されたウィリアム・ホールデンが映画『第十七捕虜収容所』でアカデミー賞主演男優賞を、3回起用されたウォルター・マッソーは映画『恋人よ帰れ!わが胸に』で同助演男優賞を獲得。往年のスター女優がたどる悲劇を描いた映画『サンセット大通り』では、グロリア・スワンソンというサイレント映画の大女優を起用し、映画ファンをニヤリとさせた。
また、コメディー映画にとどまらず、戦争を通して真の愛国心を問う映画『第十七捕虜収容所』、破格の製作費を投じた冒険映画『シャーロック・ホームズの冒険』といった実に幅広いジャンルで、持ち前のエンターテイナーぶりを発揮した職人気質も人気の秘密だ。特に1957年の映画『情婦』のスリリングな法廷劇を軸に、男女の愛憎を織り交ぜた二転三転のストーリー展開や、「衝撃の結末」の原点ともいえるラストに用意された二重のドンデン返しは、まさに法廷ミステリーの傑作といえる。
最近では代表作『アパートの鍵貸します』を脚色したブロードウェイ・ミュージカル「プロミセズ・プロミセズ」が再演され、人気女優のアン・ハサウェイが主演を務めるなど、今も多方面で愛され続けるワイルダー監督。往年のファンはもちろん、ぜひ若い世代にもその普遍的な魅力に触れてほしい映画界のレジェンドである。
『恋人よ帰れ!わが胸に』は4月26日午前9:45よりWOWOWにて放送