若松監督、レバノンでの拘束の真相語る…「殺されはしないと思ったしね」
15日、池袋の新文芸坐にて、第19回日本映画プロフェッショナル大賞の授賞式が行われ、主演男優賞に輝いた菅田俊、新人奨励賞の町田マリーをはじめ、細田守監督、鈴木卓爾監督、青山真治監督、そして先日、レバノンのベイルートで行われた映画祭で現地の警察に一時拘束された若松孝二監督が登壇、そのときのエピソードを語った。また、当日欠席予定だった新人奨励賞を受賞した満島ひかりが急きょ駆けつけ、映画『プライド』の撮影秘話を披露した。
新旧入り混じり、まさに“日プロ大賞”という多彩な顔ぶれがそろった授賞式。俳優、監督たちがそれぞれの作品の思い入れやエピソードを語り場内を盛り上げたが、そんな中、なんといっても注目を集めたのは、映画『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』の若松孝二監督だ。
若松は4月下旬、映画祭出席のために訪れていたレバノンのベイルートで、ルミエ刑務所周辺で撮影したという理由で同行カメラマン2人とともに現地警察に一時拘束されたというニュースが流れたばかり。授賞式終了後の青山とのトークショーでは「映画にしようというより、日本赤軍元メンバーの岡本(公三)が収容されていた刑務所の外観を撮っておけば、いつか何かの役に立つと思ってね。そうすればいざというとき、何かと安く映画が作れるしね」と配給、宣伝、プロデュースまですべてを自らでこなす若松らしいコメント。また「刑務所に連れて行かれたって、殺されはしないと思ったしね。ぼくはこういうトラブルにはちょくちょく遭っているから、それほど怖くはなかったよ」とちゃめっ気たっぷりの笑顔を見せた。
また、式の途中では、欠席予定だった満島ひかりが急きょ会場に駆けつけ、新人奨励賞を受賞した映画『プライド』の撮影秘話を披露。「あの映画はものすごく気合をいれた作品でした。わたしの役が嫌な女の子からかもしれませんが、普段はとても優しい金子(修介)監督が、とても意地悪でピリピリした感じで……。でも現場は楽しくて、充実感でいっぱいでした」と満足そうな笑顔で語った。
日本映画プロフェッショナル大賞は、しがらみのない真に優れた作品を正当に評価しようという精神から、1991年にはじまった映画ファンにはたまらない映画賞。今年度は『私は猫ストーカ』が大賞を受賞。近年では『接吻』『それでもボクはやってない』『ヨコハマメリー』などが作品賞を受賞している。