実力はハリウッドの若手トップ!ポール・ダノ、ホームレス役で『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』を超える演技
映画『リトル・ミス・サンシャイン』のお兄ちゃん役、映画『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のポール・サンデー、イーライ・サンデー役で注目を集めた実力派若手俳優ポール・ダノが、映画『ザ・グッド・ハート / The Good Heart』(原題)について、監督のダーグル・カウリと共に語ってくれた。
本作は、病に倒れ、余命いくばくもないことを悟った酒場経営者のジャック(ブライアン・コックス)が、ホームレスの青年、ルーカス(ポール・ダノ)を雇うことを決意するというヒューマンドラマ。
アイスランド出身のカウリ監督は、ニューヨークのバーの描写にリアリティーを出すために、映画『ビリディアナ』でカンヌ国際映画祭のパルムドールを受賞したこともある、ルイス・ブニュエル監督の伝記を参考にしたと明かしてくれた。「彼はその本の中で、バーの定義を、男が一人で来て酒を飲める場所としているんだ」と話し、今は社交的な場所としてのイメージが強いバーを、あえてブニュエル監督の言う「孤独と男だけの世界」に表現したそうだ。
ブライアン・コックス演じるジャックは、悪態をついては人を寄せ付けない、まるでダスティン・ホフマンが演じた映画『レニー・ブルース』の主人公をほうふつさせるが、カウリ監督は、「僕が何年も温めてきたキャラクターで、映画学校に通っていた時期から、似たようなキャラクターを登場させていたんだ」と話した。彼にとって思い入れのあるキャラクターのようで、自分が傷つきやすいために悪態をついてしまう、人間味のあるキャラクターだと説明してくれた。
一方、ホームレスを演じたポールは、「僕はニューヨークで育ったんだけど、子どものころは街でよく見かけるホームレスに怒りを覚えていたんだ」と明かした。しかし、それはホームレスたちにではなく、ホームレスを生み出してしまう社会に向けての怒りだったようで、今回の演技でも、いろいろなことが学べたと話していた。
そんな彼のモットーは、「興行の結果や批評家の批評など、人の言葉に左右されることなく、自分の本心に従って行動しろ」だそう。映画『ザ・バラード・オブ・ジャック・アンド・ローズ / The Ballad of Jack and Rose』(原題)で、共演したダニエル・デイ=ルイスに見初められ、映画『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』の出演が決まったというポールの、演技に対する姿勢がうかがえる話だった。
ポールの次回作は、トム・クルーズとキャメロン・ディアスが共演する映画『ナイト&デイ』だ。カウリ監督の次回作は、まだ決まっていないらしいが、若手実力派の俳優ポール・ダノと監督ダーグル・カウリ、今後注目の二人であることは間違いない。(取材・文:細木信宏 Nobuhiro Hosoki)