全米13年ぶりの興行収入スランプ!新作低迷で『シュレック フォーエバー』が3週連続ナンバーワンに! -6月7日版
全米ボックスオフィス考
今週は、映画『シュレック フォーエバー』が2,549万ドル(約22億9,410万円)を収めて3週連続全米第1位になったのだが、同時に過去の同時期とボックスオフィスを比較すると13年ぶりの興行収入スランプであるというありがたくないヘッドラインの方が話題になってしまった。(1ドル90円計算)
6月4日(金)から始まった今回の週末チャート争いは、大型ロードショーの新作がいくつも封切られたというのにトップ5に食い込んだのは、そのうち2本だけ。それも第1位獲得ならず、第2位と第3位どまりとなり、スタジオにとっては手痛い結果となった。
デビュー作品でナンバーワンとはならなかったものの第2位に食い込んだのは、1,757万ドル(約15億8,130万円)を記録したコメディー映画『ゲット・ヒム・トゥ・ザ・グリーク/ Get Him to the Greek』(原題)。去年の驚きヒット・コメディー映画『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』にはかなわなかったものの、過去の類似ジャンルである2005年のジョン・トラヴォルタ主演映画『Be Cool/ビー・クール』そして2003年のジャック・ブラック主演映画『スクール・オブ・ロック』に次ぐ大ヒットとなっており、これから去年の『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』のように長期にわたりジリジリと底力を見せていく作品になる可能性が、なきにしもあらずである。
さてこちらも初登場で第1位獲得ならずだったのは、第3位のアシュトン・カッチャーとキャサリン・ハイグル出演ラブコメで、映画『キラーズ / killers』(原題)。1,584万ドル(約14億2,560万円)の興行収入だった本作はサイアクの成績だったというわけではなく、マトを射ない予告編といまいちだったPRキャンペーンを考えればまぁまぁの成績で、アシュトンとキャサリンの人気はとりあえずまだ健在であるという結論を出すのに役立った。
代わって第4位は、先週の第3位からダウンした映画『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』で1,402万ドル(約12億6,180万円)。公開後10日間で5,962万ドル(約53億6,580万円)の総合興行収入となっており、ほかの類似作品に比べるとはるかに下回る記録となっている。
第5位は、先週の第2位から転落の映画『セックス・アンド・ザ・シティ2』で1,234万ドル(約11億1,060万円)。前作の映画『セックス・アンド・ザ・シティ』に比べると3パーセント弱少なかった降下率だが、それでも60.2パーセントダウンというかなりの急降下で、デビュー時期が通常金曜日のところ木曜日だったのが興行成績で幸いしているようである。ちなみにこの作品は、公開後11日目で7,313万ドル(約65億8,170万円)の総合収入となっている。
来週のチャート予想だが、大型デビュー作品が2作品。1980年代の人気テレビ番組の映画化で、映画『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』と、これまた1980年代の大ヒット作品である映画『ベスト・キッド』である。
『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』は1980年代を象徴するアメリカのテレビ番組の一つとして知られており、アメリカ社会のアイコン的存在ともなった俳優ミスター・Tを生み出した番組としても知られている。だが、今回の劇場版リメイクではイギリス俳優であるリーアム・ニーソンが主役という、Aチームファンにとっては少々違和感のある新装チームが登場する予定である。果たしてこれが往年のAチームファンにどう受け入れられるかにヒットのカギが隠されている。
続いての話題作『ベスト・キッド』だがこちらも新装大開店(!?)で、オリジナルではラルフ・マッチオが演じた主人公ダニエル少年をウィル・スミスの息子ジェイデン・スミスが演じ(ちなみに彼のキャラ名はドレ)、故ノリユキ・パット・モリタの演じたミヤギは、役名がハンとなってジャッキー・チェンが演じる。
こちらの作品も『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』ほど往年のファンに頼るところはないものの、新しい観客に加えて往年のファンの理解を得ることがトップ5の上位に位置づけるキーポイントとなるであろう。(取材・文:神津明美 / Akemi Kohzu)