竹野内豊、たった47人の兵力で45,000人の米軍を翻弄した実在の人物演じる
竹野内豊が2011年、日米開戦70年特別企画として製作される映画『太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-』に出演することが発表されたが、竹野内が演じるのは、太平洋戦争中、激戦地の一つであったサイパン島で、たった47人の兵力で4万5,000人もの米軍を翻弄した実在の人物、大場栄陸軍大尉だという。
本作の原作は、「タッポーチョ『敵ながら天晴』大場隊の勇戦512日」と邦題が付けられた一冊で、筆者は、ドン・ジョーンズというかつての敵、元海兵隊員のアメリカ人だ。原題は、「オオバ、ザ・ラスト・サムライ / Oba, the Last Samurai」で、ハードカバーの表紙は、日の丸のような太陽の真ん中に、丸く切り抜かれた大場大尉の写真という、まさに米軍から「フォックス」と畏敬の念を込めて呼ばれた大場大尉をたたえたようなインパクトの大きいものだ。
大場大尉は、太平洋戦争のさなか、圧倒的なアメリカ軍の兵力のもと、次々と「玉砕」「自決」していく日本軍の中で、「自決するより生きて戦うことを選べ!」とその信念を貫き続けた。竹野内は、本作で主役を務めるために、戦地サイパンを慰霊訪問、大場大尉の墓参りも行い、「大きな何かを抱えながらの撮影になるかと思いますが、精いっぱい、大場栄さんを演じたいと思います」と熱い思いを語っている。
メガホンを取るのは、映画『学校の怪談』シリーズといったファミリー映画から、映画『愛を乞うひと』といった質の高い映画まで、幅広いジャンルで定評のある平山秀幸監督。5月20日からすでに撮影は開始されているというが、サイパンほか海外での2か月を超える大規模なロケを敢行する予定で、さらに、アメリカ側の描写にはアメリカ人監督を立て、日米が協力して製作を行う超大作となるそうだ。
原作には、大場大尉が戦争に行く前の話がまったくないため、なぜ彼が信念を貫き通すことができたのかわからないという批評もあったそうだが、本作では、今まで日本の歴史教科書で語られることのなかった、大場大尉にどこまで迫っているのか、注目したい。配給の東宝では、大場とその仲間たちの戦いの史実をもとに、戦争そのものを称賛するのではなく、生きて戦後日本の礎を築いた「誇り高き日本人」を描き、日米開戦70年である2011年に多くの現代の日本人に勇気と誇りを取り戻させる意義のある作品を作り上げていくとしている。
映画『太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-』は2011年2月より全国公開