元NFL選手、実は仲間の手で殺されていた!検死に不審点!政府の隠ぺい工作か?
2004年にアフガニスタンで友軍の誤射により亡くなったパット・ティルマンさんを描いたドキュメンタリー映画『ザ・ティルマン・ストーリー / The Tillman Story』(原題)のアミール・バー・レフ監督が同作について語ってくれた。
イラク戦争に従軍する前はNFLでプロフットボール選手として活躍していたパットさんは、戦闘で死亡した元スポーツ選手として英雄視されていたが、後に友軍の誤射で亡くなったという事実が政府によって隠ぺいされていたことが発覚した。本作では、当時真実を語ることができなかった戦友たち、事実が発覚したことで報道とのギャップに苦悩する家族、そして政府の隠ぺい工作の裏側を描いたドキュメンタリー作品に仕上がっている。
バー・レフ監督は、制作経緯について「政府の隠ぺい工作よりも僕が興味を持ったのは、ティルマンの過去が亡くなった理由と同じくらい謎めいていたことだった。世間が持っているイメージが、実際の彼とはまったく違うところを取っ掛かりにして、制作を開始したんだよ」とジャーナリスティックな観点から事実を伝えるのが第一であったことを明かした。
パットさんについての隠ぺい工作は、当時不祥事が明らかになったばかりだった軍を政府がかばってのことだったいう説もある。バー・レフ監督は「多少はそういうこともあるかもしれない」と認めつつも、「だけど大切なのは、ティルマンと同じように友軍の誤射で死んだものの、彼のように有名ではなかったためにその事実が隠されているケースがたくさんあるということなんだ」と人々が見逃しがちな点をきっちりと説明してくれた。
パットさんの検死について不審な点は多々あるが、それらはすべて政府の隠ぺい工作を暗示するものなのだという。だが、2007年に行われた公聴会では、当時の国防長官が、隠ぺい工作を否定している。バー・レフ監督は、パットさんの戦友たちが彼の死後も従軍を続けていることに触れながら「ティルマンの死について黙っていたり、うそをついたりしたことで、彼らは不名誉な称号を与えられることになってしまうんだ」と真実を明らかにすることがパットさんのためだけでなく、今も国のために戦っている兵士たちのためにもなるのだと強調した。そのことこそ、バー・レフ監督が本作で伝えたかったことなのだろう。(取材・文:細木信宏 Nobuhiro Hosoki)