山田洋次監督が学生22人とのコラボで新作人情ドラマを完成、製作費の一部は今は亡き映画評論家・小森和子さんの寄付3,000万円!
山田洋次監督が立命館大学映像学科の学生22人とともに完成させた映画『京都太秦物語』の公開記念会見が9日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で行われ、山田監督と共同監督の阿部勉監督が出席した。
本作の製作は、客員教授を務める山田監督の直接指導・監督の下、学生たちが2008年からシナリオ制作のための調査・準備を行い、翌2009年9月から撮影を開始。撮影中は22人の学生たちがプロの俳優や京都太秦、大映通り商店街の人々とともに映画作りを実践した。そして今年1月、日本を代表する映画監督と学生スタッフによるコラボレーションによって、35ミリの長編劇場映画を完成させるという偉業を達成された。
山田監督は長年、映画作りというものが教えられて学べるものなのか、悩んでいたと語り、「映画作りは大勢の人々との関係性が反映される。だから作りながら教えることしかできない」という結論に達したとコメント。「卒業制作ではなく、ある程度の製作費をかけた、劇場公開を前提にした作品を作ろうと思った」と今回の企画意図を説明するとともに、今後も継続的に学生との共同制作をしたいと抱負を語った。また、山田監督は本作の製作費が、20年前、今は亡き映画評論家の小森和子さんから寄付された3,000万円がベースになっていると明かした。
記者からテレビ局主導の映画作りを憂う声が飛び出すと、山田監督は大きくうなずきながら「その件については、阿部君に」とムチャぶりする場面も。阿部監督は「僕らは撮影所で映画作りを学んだ世代だが、今はそういう機会も少なくなっている。今回の企画は素晴らしいことだが、同時にこうしないと若いスタッフが育たないという日本映画の現状を反映しているのかもしれない」と熱く語った。
映画『京都太秦物語』は京都太秦の大映通り商店街を舞台に、立命館大学の図書館に勤めるクリーニング店の娘・京子(海老瀬はな)、幼なじみの豆腐店の息子・康太(EXILEのUSA)らが繰り広げる人情ドラマ。第60回ベルリン国際映画祭フォーラム部門にも出品された。
映画『京都太秦物語』は9月18日から東劇で2週間限定ロードショー