ジョン・ウー監督、中国圏ではじめて金獅子賞を受賞し、16年におよぶハリウッドへの思い語る
香港のアクション映画界の雄ジョン・ウー監督が第67回ヴェネチア国際映画祭で長年の功績を讃える栄誉金獅子賞を受賞したが、中国圏の監督が受賞するのは初めてといこともありジョン・ウー監督がハリウッドへの16年間にわたる思いを語った。
ウー監督は、受賞の感想を問われ「映画祭ディレクターのマルコ・ミュラーから知らされたときは衝撃を受けました。そして次に『からかわれているのか?』と思いました」とジョークを交えながら、笑顔で語った。
ウー監督は『男たちの挽歌』シリーズで名を馳せ、クエンティン・タランティーノ監督などその華麗なるアクションワークに影響を受けた監督たちも多い。そして1993年にはジャン=クロード・ヴァン・ダム主演『ハード・ターゲット』でハリウッドに進出したが、必ずしも成功したとは言えず。近年は再び中国に拠点を置き、歴史大作『レッドクリフ』シリーズのヒットは記憶に新しい。
中国に戻った理由を問われたウー監督は「16年以上にわたってハリウッドで仕事をしたが、学ぶことが多かった。そのハリウッドで学んだことをアジアに生かす時が来たと思っています。私はいくつかの諸外国と仕事をしているが、人々はカンフー映画は知っていても、われわれの歴史や文化についてあまり知識がないことに気づきました。その思いが私を『レッドクリフ』や新作『レイン・オブ・アサシンズ』(原題)を作るまでに至らせました」と説明。続いて「だからといって私は、ハリウッドをあきらめたということではありません。
今もハリウッドでいくつかのプロジェクトを抱えていますし、中国と米国の両方で働けたらと思ってます」と語り、栄誉金獅子賞を受賞してもなお、攻める姿勢を忘れていないことをアピールした。 授賞式の後、ウー監督がスー・チャオピンと共同監督を務め、韓国のチョウ・ウソンが出演した『レイン・オブ・アサシンズ』(原題)が上映された。(取材・文:中山治美)