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黒人への残酷な仕打ち!ストリップサーチも当たり前!ブラックパンサー党員だった男と家族を描いた映画、監督激白!

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制作には10年の歳月を要したと語るターニャ・ハミルトン監督
制作には10年の歳月を要したと語るターニャ・ハミルトン監督 - Photo:Nobuhiro Hosoki

 映画『ハート・ロッカー』で注目を浴びた黒人俳優アンソニー・マッキーと、映画『ファンタスティック・フォー[超能力ユニット]』のケリー・ワシントンが共演した新作映画『ナイト・キャッチズ・アス / Night Catches US』(原題)について、ターニャ・ハミルトン監督が制作秘話を語った。

アンソニー・マッキー出演映画『ハート・ロッカー』場面写真

 同作は、1976年が舞台。ブラックパンサー党の党員だったマーカス(アンソニー・マッキー)は、父が亡くなったことで、警察に仲間を売ったとマーカスに敵意を抱く連中がいるフィラデルフィアに戻り、売った相手の妻パトリシア(ケリー・ワシントン)と二人で、誰にも言えない真実を抱える姿をドラマチックに描く物語だ。

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 ブラックパンサー党は、アメリカで黒人民族主義運動や黒人解放闘争を展開した急進的な組織。しかしハミルトン監督は、「これまでのブラックパンサーのイメージとは違った、シンプルで人間味のある党員だった男を描くことになったの」と明かす。脚本を執筆してから製作まで10年の歳月がかかったそうで、「実は最初に執筆した脚本は、ケリーが演じたパトリシアの娘が主人公で、ブラックパンサーのストーリーは背景にあっただけなの。ところが、いつまで経っても制作できずにいたので、背景にいた大人たちを主人公にして書き直したの」と紆余曲折(うよきょくせつ)のあった製作過程を語る。

 パトリシアのモデルとなった人物について、「わたしの母の友人である黒人女性が、学生時代にホワイトハウスの前で、1965年にアラバマ州セルマで起きた血の日曜日事件に対して抗議をしていたの。その際に、彼女とほかの7人の学生が警官に取り押さえられて、なんと半年もの間、刑務所に入れられてしまった! 彼女たちは捕まった当時、罰金を払ってすぐに刑務所を出られると思っていたらしいけれど、実際に暴動が頻繁に起きていた当時のアメリカで、彼女たちはスケープゴートとして利用されてしまったわけ。でもわたしは、そんな彼女の行動力や後に子どもを育てる姿を見て、完ぺきな女性じゃないけれど共感が持てた。それでこの母親の友人をパトリシアのキャラクターに投影することになったの」と身近にかなり興味深い女性がいたようだ。

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 そして、劇中ではバーで喧嘩をしていたマーカスと敵対する仲間が警察に取り押さえられて、上半身裸の状態でストリップサーチ(裸になり、隠しているものはないか検査)をされるシーンがあるが、「1976年ころのフィラデルフィアは、フランク・リッゾという警察署長が牛耳っていて、公民権運動をしている黒人にとっては、まるでナチスの支配下にあるような状態だったらしいわ。だから、黒人に対する残酷な仕打ちが、当時は頻繁に起きていたらしいの」と当時の悲惨な状況も明かした。

 本作は、ブラックパンサーの党員だった男とその家族という、過去のブラックパンサーを扱った映画とは違ったアングルで鑑賞することができる興味深い作品になっている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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