『鉄男』塚本晋也監督が太宰治小説の映像化に挑戦!「今回は体が鉄になったり、血しぶきが飛んだりはしません!」
24日、現在開催中の国際映画祭「第11回東京フィルメックス」で日本を代表する監督4人が手掛けた全4話オムニバス映像作品「妖しき文豪怪談」の中の一編「葉桜と魔笛」が有楽町朝日ホールにて上映され、終了後のQ&Aトークに「葉桜と魔笛」の塚本晋也監督、出演者の河井青葉、徳永えりが登壇した。
塚本晋也監督作映画『鉄男 THE BULLET MAN』場面写真
「妖しき文豪怪談」は、日本を代表する文豪たちが遺した幻想的な小説を、現在活躍中の4人の監督が映像化したオムニバス作品で、元はドラマとしてNHKで放映された。塚本監督が太宰治の小説の映像化に挑んだ「葉桜と魔笛」のほか、川端康成の原作に落合正幸監督が挑んだ「片腕」、芥川龍之介の原作に李相日監督が挑んだ「鼻」、室生犀星の原作に是枝裕和監督が挑んだ「後の日」の4編で構成されている。
映画『鉄男』シリーズで世界中に熱狂的なファンを持つ塚本監督だが、今回はそのような作風とはうって変わって、余命わずかな妹と、その妹を励まし続ける姉が織り成す、美しく悲しい姉妹愛の物語にチャレンジしている。この題材を選んだ理由について塚本監督は、「当時母親の介護があったりして、心情的にぴったりくるものがあった」と説明。姉妹にキャスティングした河井と徳永には「今回は体が鉄になるわけでも、血しぶきが飛んだりするわけでもなく、お二人の演技にかかっていると伝えました(笑)」とユーモラスに語って会場を沸かせた。そして「とてもいい演技をしてくれて感謝しています」と改めて女優たちの奮闘を褒め称えた。
そんな風に褒められた河井と徳永の二人は、塚本監督の撮影に妥協はしないものの、周囲には温和に接する人柄をうかがわせる思い出話を次々に披露。妹役を演じた徳永は「わたしの中で監督は『鉄男』のイメージがありました。だから朗らかな柔らかい監督が、現場でどう豹変するのかと思っていたら、普段と変わらない方で(笑)。でも本番が始まると目が一瞬で変わって、『この方なら大丈夫』と信頼してお仕事することができました!」と監督を絶賛。この日は映写機のトラブルでイベントが2時間ほど遅れたが、塚本作品ファンとおぼしき多数の観客たちは夜遅くまで辛抱強く待ち続け、監督のトークに熱心に聞き入っていた。
第11回東京フィルメックスは11月28日まで有楽町朝日ホールほかにて開催中