お産は「エクスタシー」!!河瀬直美監督、生命のぬくもりに喜び
25日、公開中のドキュメンタリー映画『玄牝 -げんぴん-』でメガホンを取った河瀬直美監督が、渋谷ユーロスペースにて行われた「親子討論会」イベントに登壇。親子が安心して鑑賞できるように全国の劇場でも実施されている「家族みんなで!あんしんシネマ」に集まった親子や一般客たちと、自身も一児の母である監督が出産や子育ての素晴らしさについて語った。
出産経験がないという若い女性から「わたしはお産に痛くて怖いイメージがありますが、監督はエクスタシーだとおっしゃった。どの辺りがエクスタシーなのですか?」という質問が飛ぶと、監督は「痛かったとは思いますが、それ以上の喜びがあったので結果的に痛さを覚えていません」と自身の経験を振り返る。さらに「生まれた瞬間の命のぬくもりが本当に心地良い。息子とお風呂に入るときや、おなかの上に乗せて抱きしめるとき、ギュッと肌と肌が触れ合う喜びに似ています。パートナーと肌を重ねることとはまた違う喜びで、それがすごく快感でした」と優しく語りかけ、質問者も熱心に聞き入っていた。
また「出産というとてもプライベートな部分に踏み込んで撮影することを拒否されませんでしたか?」という質問には、「最初はカメラを持っていかず、友達になることから始めました。まき割りをしていたらわたしも隣で同じことをしたり、お茶をしながらお話をしたりして、安心していただいてから撮影を始めました」と監督のあたたかな気配りや人柄がうかがえるエピソードを明かした。
イベント終了後には、監督が自前のカメラを取り出して壇上から客席を記念撮影。元気いっぱいの子どもたちに向かって「みんなー、このカメラからウサギさんが出てくるよー」と言ってシャッターを切り「あ、出てけえへんかった」と笑わせるという、さすがはママらしい子どもの気の引き方を披露した。最後は「現代の女性は、子育てをするとキャリアを積めないと思って焦ってしまうけれど、男性も女性も親になるということは人間的な成長になります。立ち止まって新たな命を見つめると、立ち止まっているようでもっと深いところに気付いている部分が必ずあります」と力説し、命を通じて知ることができる幸せや喜びについて訴えかけた。
映画『玄牝 -げんぴん-』は「生きる」「生まれる」をテーマに、お産という普遍的な題材に取り組んだドキュメンタリー。現代医学の技術を取り入れつつも、昔ながらの自然なお産を後押しする愛知県にある産院の四季をとらえる。
映画『玄牝 -げんぴん-』は渋谷ユーロスペースほか全国で公開中