映画『ボラット』に逆襲?カザフスタンの映画監督が続編で国のイメージアップを図る
2006年の映画『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』では、サシャ・バロン・コーエン演じるカザフスタン人ジャーナリストのボラットがアメリカを旅し、ハチャメチャな言動を巻き起こしていく様子が描かれたが、これに対し、カザフスタン人監督が「続編」の製作を進めている。
映画『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』写真ギャラリー
『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』は、突撃取材風おバカ映画として人気を得た一方で、ボラット像があまりにも破天荒だったため、「カザフスタンをばかにしている!」とカザフ国民の怒りを買い、カザフ政府からは訴えを起こされそうになるなど、大問題となってしまった。カザフスタン人の映画監督、エルキン・ラキシェブも、サシャの映画を好ましく思わなかった1人。そこで、続編映画として『マイ・ブラザー、ボラット / My Brother, Borat』(原題)という作品を作ろうと企画。その目的はひとえに、サシャがぶち壊したカザフスタンのイメージを改善するためだ。
ラキシェブ監督はBBCワールドのインタビューに答え、「西洋の人々はボラットの映画のイメージを強く持っていて、西洋諸国へ出て行ったカザフスタン人はみんな自分の出身地を言うのをためらってしまう」とコメント。「ボラット映画は我々の国にとって非常に攻撃的だった。一線を越えていたと思うよ。ジョークのつもりだったんだろうが、我々を侮辱し泥を塗った。カザフの人を動物にたとえたり、野蛮人のように描いていた。冗談と分かる人もいるだろうけど、映画で見たものや聞いたものをそのまま信じてしまう人も多いんだ」と語っている。
続編は、「ジョン」という名のアメリカ人ジャーナリストがボラット映画を見てカザフスタンを訪れる様子を描く内容になるそう。ジョンはボラットの故郷の村を探すが、予想に反して発展した町を見てショックを受ける。さらに、ボラットが映画の中で「精神的病を抱えている」と語っていた弟ビロが登場し、ジョンにカザフスタンの本来の姿を見せる形になるという。際どいブラック・ジョークはそのまま生かすつもりとのことで、ビロがロバにレイプされるシーンなど、物議をかもし出しそうなシーンも。これについてラキシェブ監督は、「(サシャが映画で語っていたように)ビロがロバをレイプするなら怒りを買うが、逆だからそうは思わない。僕らのジョークはハードだけど、誰かを攻撃するものじゃないんだ。僕たちはバカじゃないし、西側諸国の人々の映画の見方だって予想しているよ。オリジナルとは違って、低レベルのトイレ・ジョークをやるようなことはしないさ」と語っている。