3D上映からの収益が全体の82パーセント!ディズニー作品の新作『トロン:レガシー』堂々の全米ナンバーワン!
全米ボックスオフィス考
ディズニーの新作映画『トロン:レガシー』が、週末のボックスオフィスを制覇し、全米ナンバーワンとなった。
ここ数週間低迷していた全米興行収入に4,403万ドル(約37億4,255万円)をもたらした同作品は、3Dが効果的に使用されたハイテクな映像、そして映画『クレイジー・ハート』でアカデミー賞主演男優賞を受賞し脂の乗っているジェフ・ブリッジスが登場するとあって、話題には事欠かず、新旧映画ファンの食指を動かしたようだ。(1ドル85円計算)
3,451館・推定5,600スクリーン、そのうち2,424館で3D上映され(234館のIMAX 3Dも含む)、週末における総合収益の82パーセントが3Dからの売り上げという報告が入っている。興味深いのは、去年大成功を収めた映画『アバター』は公開初週末における3D上映からの収益は71パーセントだったということだ。今年に入って、ますます3Dが映画ファンの間で定着してきたということか。なお、ディズニーの観客調査によると、この映画は男性に人気があったようで週末観にきていた人たちの66パーセントが男性、そして75パーセントが18歳以上の観客だったと発表されている。
今週第2位は、こちらも初登場の映画『ヨギ・ベアー(原題) / Yogi Bear』で1,641万ドル(約13億9,485万円)。ストーリーも3Dの質も非常に良く、ただの子ども向け映画とバカにできない作品だ。2,011館は3D上映だったが、収益的には全体の57パーセントとそこそこ。配給のワーナー・ブラザーズによると52パーセントの観客が25歳以下、そして53パーセントは男性という結果が発表されている。
第3位は、1,239万ドル(約10億5,315万円)で映画『ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島』。2週目の成績にしては悪くないが、映画『ナルニア国物語』シリーズ過去2作と比べると、やや元気がない。
第4位は、今週から全米公開に拡張して先週の第19位から大きくジャンプした話題作映画『ザ・ファイター(原題) / The Fighter』で1,214万ドル(約10億3,190万円)。マーク・ウォールバーグとクリスチャン・ベイル主演のスポ根作品は、早くもアカデミー賞ノミネーション候補の呼び声も高く、業界はもとより映画ファン注目の作品である。
今週第5位は、残念ながら先週3位からダウンの映画『塔の上のラプンツェル』で878万ドル(約7億4,630万円)。この成績になってしまったのは、同じ製作スタジオの新作『トロン:レガシー』にほとんどの3D上映館を持っていかれてしまったことが原因となっており(何と、2,300館から800館に激減)、いたしかたない状況だ。とはいうものの、それにしてはまずまずの収益を上げており決して悪くない。
さて、来週のランキング予想だが今年はクリスマスが週末にあたるためひと足お先の12月22日木曜日公開の作品が目立つ。
まずは、柳の下で3匹目のドジョウを狙う映画『ミート・ザ・ペアレンツ』シリーズ第3弾となる映画『リトル・フォッカーズ(原題) / Little Fockers』。おなじみロバート・デ・ニーロが元CIAのテンション高~い男を演じ、ベン・スティラーが翻弄(ほんろう)される義理の息子を演じている。
そして、トップ5入り間違いなしの映画賞シーズン超話題作映画『トゥルー・グリット』。ジョエル、イーサン・コーエンが製作・監督・脚本を担当し、ジェフ・ブリッジス、マット・デイモン、そして映画『ブッシュ』でブッシュ大統領を熱演したジョシュ・ブローリンが出演するという豪華キャストだ。この作品は、若い映画ファンにはなじみがないかもしれないが、1969年に公開されたジョン・ウェインが主演を務めた映画『勇気ある追跡』と同じ原作の作品なのだ。このことから新旧の映画ファンとセレブ大好きな若者たちが、劇場に詰め掛ける可能性大である。
そしてクリスマスに公開される作品もあり、注目作は長いクリスマス連休で退屈した子どもたちが喜びそうな映画『ガリバー旅行記』。特撮満載のコメディーでジャック・ブラックがハチャメチャなガリバーを演じる。ファミリーパワー全開のクリスマス・シーズン。たとえ大人たちは観たくなくても子どもの付き合いで映画館に足を運ぶため、収益がダブルになる。家族向け映画の強みがそこにあるわけだ。
渋いウエスタン映画がトップの栄冠に輝くか、またはファミリーコメディーのガリバーがのし上がるか、それとも『トロン:レガシー』のV2か……次回のチャートが楽しみである。(文・取材: アケミ・トスト/Akemi Tosto)