大林宣彦監督、被爆から平和祈る「長岡花火」を涙の映画化!「世界中の爆弾を花火に替えたい」
故郷を舞台に撮影された映画『転校生』『時をかける少女』『さびしんぼう』の「尾道三部作」で知られる巨匠・大林宣彦監督が、米軍によって被爆して以来、戦災復興と平和への祈りを込めて打ち上げられている「長岡花火」を題材にした映画『「この空の花」 -長岡花火物語-(仮題)』を製作することがわかった。大林監督は実際に花火を見学した際、「深い物語が秘められた、人の思いの気配を感じて、僕は思わず、温く、涙した」と強く心を揺さぶられた様子を明かしている。
本作は、昭和20年8月1日に襲った長岡大空襲から2年後に始まり、近年では中越地震も含めて平和への願いが込められている「長岡花火」をモチーフに映画化。歴史的事実を淡々と描くようなドキュメンタリーではなく、あくまで本花火が持つ精神や人々の思いを描く劇映画として制作される。
大林監督は、この長岡花火に「世界中の爆弾をすべて、花火に替えたい」という思いが込められていることを知ったとき、「この空の花」という作品タイトルが浮かび、映画化を決意したという。そして、「戦争も爆弾も遠くなった日本の夏に、これは当時を知る大人たちだけの物語ではない。これから遥かなる未来を、平和を願って生きる未来人たる子どもたちに、この物語を届けたい」と思いを巡らせ、作品作りへの意欲を燃やしている。
今年の12月に長岡市が、ハワイの真珠湾で追悼の花火を打ち上げようとしていることを聞いたとき、かつての「敗戦少年」の魂が激しく揺さぶられたという大林監督。「8月1日の『長岡追悼花火』をプロローグにして、『真珠湾の追悼花火』をエピローグに、そして『この空』に咲く『花』の祈りの物語を主題に、この映画は『長岡古里映画』、一本の願いのファンタジー、健気な『夢』として完成されるべきでしょう」と大林監督は、大いに膨らんだ物語の構想を明るい希望と共に語った。これまで故郷だけでなく、北海道の小樽や四国の香川県観音寺市など日本の古里を巡り、「古里映画」製作をライフワークとしてきた大林監督が、観る者の心を捉え、感動を与える作品を新たに誕生させる。本作のキャストは未定だが、4月には撮影準備に入り、年内にクランクアップを迎える予定だ。
映画『「この空の花」 -長岡花火物語-(仮題)』は2012年春公開予定