『エクソシスト』よりも怖い!アンソニー・ホプキンス、新作『ザ・ライト』が全米第1位! -1月31日版
全米ボックスオフィス考
映画館から出てきた観客の一部からは、「『エクソシスト』よりも怖かった……」という声も聞かれた新作映画『ザ・ライト -エクソシストの真実-が1,479万ドル(約12億5,715万円)の興行収入で今週の全米映画チャートのナンバーワンに輝いた。(1ドル85円計算)
2,985館・推定3,200スクリーンで封切られた『ザ・ライト -エクソシストの真実-は、ここ数週間続いている低迷ボックスオフィスを脱出させるほどの勢いはなかったものの、主演のアンソニー・ホプキンスが映画『羊たちの沈黙』のレクターをほうふつさせる鬼気迫る演技で、映画ファンを震え上がらせた。
本作は実話を基にしており、ある神学生が、悪魔ばらい専門の神父(アンソニー・ホプキンス)との出会いをきっかけに、恐ろしい出来事を目の当たりにすることになるというストーリーで、それを念頭において観るとますます背筋が寒くなる作品となっている。
さて、大御所アンソニーに王座を明け渡して今週第2位に退いたのは、ナタリー・ポートマン、アシュトン・カッチャー主演の映画『抱きたいカンケイ』で1,341万ドル(約11億3,985万円)の売り上げ。映画『ブラック・スワン』がアカデミー賞レースに名を連ねたことで、ナタリー株が上昇したことが影響したか、この手の映画の2週目成績にしてはなかなか好調であった。
一方、初登場なのに残念ながら第3位止まりとなってしまったのが、今は亡きチャールズ・ブロンソンのリメイクでジェイソン・ステイサム主演アクション映画『ザ・メカニック(原題) / The Mechanic』。1,142万ドル(約9億7,070万円)と元気のない数字に見えるが、全米配給会社となっているCBSフィルムズの担当者スティーヴン・フリードランダー氏が語ったところよると、『ザ・メカニック(原題) / The Mechanic』はミレニアム・フィルムズから400万ドル(約3億4,000万円)で買い取られており、すでに3倍近い収益を上げたということで、「非常に興奮している」と語っている。だが、ちまたのジェイソン・ファンにとってはここまで映画『トランスポーター』シリーズもどきが続くと少々食傷気味……というところであろうか。
第4位は、先週第2位からダウンの映画『グリーン・ホーネット』で1,118万ドル(約9億5,030万円)。落下度は36.7パーセントと悪くなく、公開17日目にして7,849万ドル(約66億7,165万円)の収益。当初の前評判からすれば上々の出来である。
第5位は、アカデミー賞ノミネートで話題急上昇中の映画『英国王のスピーチ』で1,106万ドル(約9億4,010万円)。残念ながらランキングではワンランクダウンだが、全米監督組合賞(DGA)、全米映画俳優組合賞(SAG)とダブルで受賞し、アカデミー賞を目前にめじろ押しの映画賞の受賞状況によっては上位返り咲きも十分にあり得る。
さて次回ランキング予想だが、今週末の封切り作品も少々寂しくチャートに食い込んできそうな作品はたった1本、ひょっとすると2本というところだ。
まず1本目は、ひょっとしてトップ5入りするかもしれないスリラー映画『ザ・ルームメート(原題)/The Roommate』。こちらも無名俳優たちが名を連ねた作品だが、昔から人気のあるパターン化されたストーリー(あるティーンエイジャーがサイコチックなルームメートと化す……)自体が呼び込みとなって、コワいもの好き映画ファンの客足がある程度期待されそうだ。
そしてこちらも恐らく上位に食い込むであろう、ジェームズ・キャメロン製作総指揮の映画『サンクタム』だ。普通ならダイビングはお手のもののベテランダイバーたちが、調査中の洞くつから脱出できなくなる恐怖を描いた3D作品である。こちらも出演者は無名の俳優ばかりだが、キャメロンお得意の深海が舞台となったアクションも満載の同作品は、ドラマ系が多い現在の公開作品に飽きがきている映画ファンを喜ばせる要素満載で、トップ5に猛攻をかけること必至である。ただこの作品の弱点となりそうなのは、PR作戦が非常に弱いということで、テレビCMも街で見かける作品ポスターも非常に少ない。この映画を観に行きそうな一般映画ファンに『サンクタム』の存在が知れ渡っていないのである。果たしてこの点が、週末の封切りにどう響いてくるかが興味深い。(文・取材: アケミ・トスト/Akemi Tosto)