『太平洋の奇跡』が首位を飾り『あしたのジョー』も女性・若者層を中心にヒット!東宝の作品がベスト3に
映画週末興行成績
昨年、31本の公開作品のうち21本が興収10億円を超えるなど、着実にヒットを重ね、業界でも頭ひとつ突き抜けた企画力を見せた東宝作品が今週のトップ3を独占した。昨年の年間興収で748億6,961万2,938円を記録した同社は、今年31本の作品が公開予定となっている。
映画『太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-』写真ギャラリー
今週、初登場で首位を獲得したのは竹野内豊主演の映画『太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-』。金曜日に全国300スクリーンで公開され、土日2日間の成績は動員21万6,495人、興収2億5,510万700円。また初日3日間の動員は33万1,967人、興収は3億9,044万8,500円と雪の影響をものともしない好調な結果で、配給元の東宝も「興収20億円突破に向けて大ヒット」としている。客層は男女比で62対38。50代が32.2%で最も高く、続いて40代が27%、30代が16.6%と、大人の観客が多く来場。鑑賞動機としては、「実話に基づく話だから」が32.7%、「主人公の大場大尉に興味を持った」が20.1%。合わせて50%以上の観客が内容に興味を持ったようで、まさに企画の勝利と言える。イギリス、アイルランド、ドイツ、オーストリア、スイスの5カ国での配給が決定しており、ほか多数の国で配給交渉がなされるなど、さらなる展開が期待できそうだ。
2週連続首位をキープしていた映画『GANTZ』だが、今週は2位にランクダウン。しかし興収では引き続きトップをキープしている。公開16日間の累計成績は早くも動員169万6,171人、興収21億2,404万4,950円を突破した。初登場3位は、ちばてつやの名作漫画を実写化した映画『あしたのジョー』。金曜初日で、全国277スクリーンの公開。土日2日間成績は動員15万6,877人、興収1億9,449万4,250円。初日3日間の動員は24万3,955人、興収は3億232万1,700円という結果になった。客層の男女比は24対76。16歳から19歳までが24.8%、20代が22.8%と、主演を務める山下智久ファンの多い若年層を積極的に取り込んだのがヒットの要因となったようだ。さらに40代が19.2%、30代が12.5%、50代が9.6%と原作漫画を知っている層も来場するなど、幅広い層に訴求している。海外では、台湾で3月に公開するほか、各国で配給が決定している。
4位の『RED/レッド』、5位の『ウォール・ストリート』、6位の『毎日かあさん』はそれぞれ2ランクずつのダウン。そして7位には、約135万円という超低予算ながら大ヒットを記録したことが話題となったホラー映画のアメリカ版続編『パラノーマル・アクティビティ2』がランクイン。金曜初日で、前作とほぼ同じ規模となる全国169スクリーンで公開。土日2日間の成績は動員が5万7,191人、興収7,378万2,800円となった。マツコ・デラックスが出演したコマーシャルを筆頭に、はるな愛、楽しんごなど、旬のおネエタレントたちを起用したPR展開も話題となった。
公開5週目となる8位の『ソーシャル・ネットワーク』、9位の『僕と妻の1778の物語』はそれぞれ3ランクずつダウン。公開8週目の『相棒-劇場版II- 警視庁占拠!特命係の一番長い夜』は10位をキープしベストテン圏内に留まった。そして公開5週目の『天装戦隊ゴセイジャーVSシンケンジャー エピック ON 銀幕』は3ランクダウンで11位と、惜しくも圏外に落ちてしまった。
今週末は、前売り券の販売の好調な、クリント・イーストウッド監督作『ヒア アフター』がランク入りを目指す。その他、『戦火の中へ』『男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW』『トスカーナの贋作』などの公開も予定されている。(ランキングなどは興行通信社調べ)(取材・文:壬生智裕)