演技派ポール・ジアマッティ、弁護士兼レスリングチームのコーチ役に挑戦!高校生チャンピオンとタッグ!
映画『シンデレラマン』で、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされた演技派ポール・ジアマッティが、新作『ウィン・ウィン(原題) / Win Win』について、共演者のエイミー・ライアン、アレックス・シェイファー、監督のトーマス(トム)・マッカーシーとともに語った。
ポール・ジアマッティ出演映画『終着駅 トルストイ最後の旅』場面写真
同作は、ニュージャージー州でさえない弁護士をしているマイク(ポール・ジアマッティ)は、生活費を稼ぐために高校のレスリング部のコーチもしていた。ある日マイクは、弁護依頼人の孫で母親がドラッグ中毒で問題を抱えるアレックスと出会い、彼をレスリング部に入れる決意をする。ところが、ドラッグのリハビリ施設に母親が入所してしまい、行き場所のないアレックスをマイクが自分の家に住ませたことから、家族内に大きな変化が訪れていくというドラマ作品。
演技経験のないアレックス・シェイファーのキャスティングについて「トム監督が、ニューヨーク付近にある新聞にレスリング経験のある人たちを募集するオーディションを掲載させて、その記事を読んだ僕の友人が、僕に参加してみればと聞いてきたんだ。僕の最初の返答は“No”だった。ところが友人は引き下がらずに、真剣にオーディションしてみろよと再度言ってきて、やっと決意をして参加したんだよ。オーディションは7、8回目でようやく決定したんだ」と全く記者会見の経験のないアレックスが顔を赤らめながら語った後、トムが「僕は大のスポーツファンで、俳優がスポーツする演技は十分ではなく、信ぴょう性を感じないんだ」としていて、あえて本格的なスポーツ選手をキャスティングしたらしい。ちなみに、アレックスはニュージャージー州の高校生55kg級のチャンピオンだった。
観客が共感できる夫婦関係にしていることについてポール・ジアマッティは「ほとんどは脚本に書かれていたんだよ。トム監督は、ものすごく注意深く改稿しながら、正しい(夫婦関係の)トーンに調整していったんだ。俳優同士が話し合う必要もないくらいだった」と答えると、エイミーは「ポールと仕事をすると、まるで彼を生涯知っていたような気分にさせられるの。彼はまるで学校のいたずらっ子みたいで、半分くらいの生徒を笑わせるんだけれど、残された生徒は困ってしまうような感じなの(笑)。そういった悪ふざけするような遊び心の感覚が、夫婦関係に信ぴょう性を持たせて、記者の間でも評価されているみたい」と語った。
映画内で使用されているボン・ジョヴィの曲についてトム監督は「ボン・ジョヴィはものすごく寛大な人で、予算が無かった僕らに、『僕の曲の使用料のレートを君たちで決めてくれ』と言ってくれたんだ。実際に、ほとんどの金持ちのロックスターは、こんなことはやらないし、予算がなければ電話にも応じてくれないのが普通なんだ。だから、僕らが指定した曲の使用料を言ったら、それでいいよと答えてくれたときは、僕はつい調子に乗って、もっと低い額でも良いかい?と聞いてしまったくらいだよ(笑)」とサントラとして使用できたことを喜んでいた。映画内でボン・ジョヴィの曲は、「ハヴ・ア・ナイス・デイ」が使用されている。
映画は、他人であった一人の少年アレックスの加入により、思いがけない形で家族の大切さを伝えている秀作だ。監督のトムにとっては、映画『扉をたたく人』以来の佳作といえる作品になりそうだ。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)